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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルコニックスは自律調整一巡、15年3月期は利益再増額の可能性
- 2015/3/27 07:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
「非鉄金属の総合商社」を目指すアルコニックス<3036>(東1)の株価は、1800円近辺でモミ合う展開だが調整一巡感を強めている。再動意のタイミングのようだ。15年3月期利益再増額の可能性や中期的な収益拡大基調を評価して、14年12月高値2107円を試す展開だろう。
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社である。
レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けては「非鉄金属の総合商社」を目指し、M&A戦略も活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社を子会社化、13年3月アルミ合金スクラップ販売の大阪アルミセンターを子会社化、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化、14年4月住宅建設関連資材メーカーのケイ・マックを持分法適用関連会社化した。14年11月には子会社アルミ銅センター(大阪アルミセンターが14年9月1日付で商号変更)が、稲田商会(福岡県北九州市)の銅リサイクル事業を譲り受けた。
3月24日には非鉄金属専門商社の平和金属(大阪市)の株式を取得(4月30日予定)して連結子会社化すると発表した。同社グループの優良な営業資産の取り込みに加えて、加工機能を有する同社グループとのシナジー効果が見込めるとしている。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月6日に売上高を減額、利益を増額)は売上高が前期比9.4%増の2010億円、営業利益が同18.2%増の41億20百万円、経常利益が同37.5%増の49億50百万円、純利益が同11.3%増の35億円としている。
配当予想(株式分割に伴って7月4日に修正)は年間36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。14年8月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間65円を年間32円50銭に換算すると、実質的に前期比3円50銭増配となる。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比10.5%増収、同31.7%営業増益、同64.1%経常増益、同31.1%最終増益だった。自動車関連やスマホ・タブレット端末関連が好調に推移し、ケイ・マックの持分法投資利益も寄与して大幅増収増益だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)484億04百万円、第2四半期(7月~9月)485億96百万円、第3四半期(10月~12月)546億06百万円で、営業利益は第1四半期9億61百万円、第2四半期14億43百万円、第3四半期14億06百万円と好調な推移だ。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が92.5%、経常利益が89.1%、純利益が92.0%と高水準である。通期ベースでもスマホ・タブレット端末向け電子材料関連、海外の自動車関連や半導体関連などが好調に推移し、貸倒引当金戻入や基幹システムの減価償却終了による販管費の減少、ケイ・マックの持分法適用関連会社化に伴う負ののれんを含む持分法投資利益も寄与する。通期利益は再増額が濃厚だろう。
14年5月に発表した新中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では経営目標値として、17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度を掲げ、3年間の投融資総額はM&Aを中心に150億円の計画としている。
重点戦略としては、電子材料分野では原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子材料・機能材料)までを網羅したビジネス展開、環境対応関連分野では省エネ・環境対応素材からリサイクル事業まで国内外での積極展開、海外事業では地場取引や三国間ビジネスの拡大および海外ネットワークの充実、そして新規投融資の積極推進に取り組むとしている。
17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超という目標値は15年3月期に前倒し達成の可能性が高まっている。積極的なM&A戦略が奏功し、グループのシナジー効果を高めて中期的にも収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年8月1日付で株式2分割)を見ると、14年12月の上場来高値2107円から反落して日柄整理局面となり、足元は1800円近辺でモミ合う展開だが、自律調整一巡感を強めている。
3月26日の終値1830円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS273円69銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間36円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS1638円21銭で算出)は1.1倍近辺である。
日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線突破の動きを強めている。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線が接近して切り返しの動きを強めている。自律調整が一巡して再動意のタイミングのようだ。15年3月期利益再増額の可能性や中期的な収益拡大基調を評価して、14年12月高値2107円を試す展開だろう。