【新規上場(IPO)銘柄】ワールドは9月28日に再上場、バリューアップへの取り組みが注目

株式市場 IPO 鐘

 ワールド<3612>(東1)は、9月28日に東京証券取引所市場第一部に再上場した。2005年11月のマネジメント・バイアウト(MBO)で上場を廃止してから13年ぶりの上場で、同社グループは、2017年4月に同社を事業持株会社とする持株会社体制に移行。事業セグメントを「ブランド事業」「投資事業」「デジタル事業」「プラットフォーム事業」の4つに分けた上で、新たな収益源として投資事業とデジタル事業の育成・発展に注力するため、当面はこれら2つの事業に集中投資を行う方針。

 主力のブランド事業では、当該事業を支える生産系及び販売系プラットフォームやデジタル事業とも連携し、各事業会社における個々の市場に適した収益構造の構築と主体的な意思決定をスピード感を持って行い、商品力と販売力の強化によるブランド及び店舗の収益の維持と成長を目指している。

 投資事業では、同社グループ全体の事業ポートフォリオの最適化を使命としており、アパレル以外のブランド事業領域やデジタルを中心としたプラットフォームの拡充に有用な企業や事業のM&Aに取り組んでいる。

 デジタル事業では、同社グループが買収した企業やグループ外の企業にも活用出来るよう、ファッションビジネスの全領域を網羅したシステム基盤のアップデートに取り組むほか、ファッションテックとの協業でデジタル軸の新規サービス開発やプラットフォーム強化も推進している。

 今2019年3月期第1四半期業績実績は、売上高609億7800万円(前年同期比1.0%増)、営業利益66億4800万円(同5.9%増)、経常利益62億0500万円(同7.6%増)、純利益39億7000万円(同6.9%増)に着地。

 今19年3月期業績予想は、売上高2490億6600万円(前の期比1.3%増)、営業利益161億6200万円(同1.5%増)、経常利益142億3400万円(同7.6%増)、純利益127億9100万円(同14.8%増)を見込む。上場による調達資金は、主に新興アパレル会社への出資やシステム投資に充当する。年間配当は、期末一括47円を予定している。

 株価は、上場初日の9月28日に公開価格2900円と5%下回る2755円で初値をつけ、同日高値は2779円。同3日に2500円まで売られた後、モミ合っている。同社とTSIホールディングスは、9月から、同じ館内に出店している両社のブランドの店舗を対象に納品を一元化する共同配送を開始したと発表。対象エリアとチャネルは関東1都6県の駅・ファッションビル、ショッピングセンターの39館から開始し、徐々にエリアを拡大していく予定で、輸送効率の改善、配送・納品のコスト削減による物流の効率化を図り収益改善が見込まれる。また、投資事業で、(株)インターキューブ、(株)イノベーションリンク、(株)アスプルンド、(株)アダバット、(株)ティンパンアレイ、(株)オムニスに出資し、バリューアップに取り組んでいるが、今後収益に貢献するか注目される。今期予想PER6倍台と割安感があり、中長期的な視点で押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る