トーセは小反落も前期業績の上ぶれ着地、今期業績の増益転換予想を手掛かりに下値買いが交錯
- 2018/10/10 08:57
- 編集長の視点
トーセ<4728>(東1)は、前日9日に4円安の1010円と小反落して引けた。日経平均株価が、4営業日続落し心理的なフシ目の2万3500円を下回ったことから、8月21日につけた年初来安値955円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、3連休前の10月5日に8月期決算を発表し、前2018年8月期業績が、前回予想を上ぶれて着地し、続く今2019年8月期業績を増益転換と予想したことを手掛かりに割り負け修正買いが交錯した。株価トレンド的にも毎年、ゲーム関連株として決算発表からクリスマス商戦、年末年始商戦を先取り上値追いとなる株価特性の再現期待を高めている。
■次世代開発人員の拡充や大型コンテンツの開発完了などが寄与
同社の前2018年8月期業績は、売り上げが前回予想より1億700万円下ぶれたが、逆に営業利益と経常利益は各6400万円、純利益は5400万円上ぶれて着地し、前々期比4.0%減収、25.8%営業減益、34.1%経常減益、10.1%純益減益と減益転換率を縮めた。売り上げは前回予想をやや下ぶれたが、利益は、各プロジェクトで原価低減を図り、販売費や管理費の削減に努めたことが上ぶれ着地要因となった。
続く2019年8月期業績は、売り上げ53億2700万円(前期比17.9%増)、営業利益2億7100万円(同18.6%増)、経常利益3億3200万円(同24.2%増)、純利益1億9200万円(同2.4%増)と2ケタ増収益転換の急回復を予想している。家庭用ゲーム機やスマートフォン向けゲームの業界環境は、大規模ゲームメーカーの市場寡占化がいっそう強まっており、ユーザーを獲得するにはコンテンツ自体の価値拡大に向けコンテンツ開発体制の強化などが不可欠で、同社が、前期まで人事優遇策を進めた次世代開発人員の拡充や、開発延期となった大型コンテンツの開発完了などが上乗せとなって増収増益転換する。
■短期48%高の昨年10月相場の再現期待を高めまず年初来高値調整幅の3分1戻しを目指す
株価は、米中貿易戦争のエスカレートを嫌ってつけた年初来安値955円から8月期期末の高配当利回り買いで1046円へ底上げし、さらに配当権利落ちとともにつけた977円から1114円へ再上昇、足元では1000円台で下値を試す動きを続けている。昨年10月も8月期決算発表時から11月初めにかけて人気ゲームの配信開始で短期48%高しており、この再現期待を高めてまず年初来高値2195円から同安値への調整幅の3分の1戻しの1300円台回復を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)