【小倉正男の経済コラム】「第2四半期」――決算は経営者&経営能力の鏡

小倉正男の経済コラム

■成果給――年俸制は減俸制という悲惨な実験

kk1.jpg 2000年前後のことだが、長引く不況に対応して「成果給」を導入する企業が相次いだものだ。いわば“年俸制”の導入がなされたわけである。

 成果を出した社員たちには本当に高い給料が払われるのか。平社員でも成果を出せば、役員や部長クラスより高い給料を取れるのか――。

 ところが、会社側の説明をつぶさに聞くと、予算の総ファンドに縛られるというのである。
 多くの社員たちが成果を出せば、予算の枠を超えて高い給料を払わなければならない。しかし、そうではないというのである。
 あくまで会社の予算全体の枠内で、ということになれば成果を出しても給料はそう上がらない。

 制度自体にもともと大きな問題があったわけである。むしろ、成果を出していないと給料を下げられる社員たちが相次いだ。
 これでは、成果給、すなわち年俸制は減俸制になってしまったわけである。あるいはそれが会社側の最初からの狙いだったのかもしれない。

■「下方修正、減益・減配と悪く書かれている」という経営者

 この話にはオチがある。その会社は名門の大企業なのだが、成果給の導入後に業績悪化で下方修正を繰り返すようになった。メディアがインタビューして、経営者に経営責任を問い質した。

 経営者トップは、「業績が悪いのは従業員が働かないからだ」と応えた。当時これは経済界で大きな話題となった。
 大手証券マーケット筋など、「あの社長が辞任したら、あの会社の株価が上昇するのだが・・・」と棘のあるユーモアを吐いたものである。

 私の知っているまた別の企業経営者だが、真顔でこう話した。「下方修正、減益・減配と我が社はマスコミに悪く書かれている」。
 下方修正、減益・減配は事実ではないのか――。事実ならそう書かれるし、よいも悪いもそう褒められることではない。

 (理にかなった先行投資など)正当な理由があるならともかく、減益・減配などは、世界的に事実があるならそのように報道される。あまり経営者としては芳しい話ではないし、事実に基づいて書かれるのが世界ルールである。

 仮に、悪く書かれたくないとすれば、よい業績、増収増益を実現すればよいことだけのことである。

■「第2四半期」――決算は経営者&経営能力を映す鏡

 論外といえば論外な人が稀にではあるが、経営者をやっていることがないではない。いろいろな偶然が重なり、経営者になってしまったというか、経営能力などまったく省みられていないこともあるわけである

 いかなる企業にも潜在的なリスクは存在する。経営者がリスク要因というケースもないではない。
 ただし、こうした経営者も経営結果、つまりは業績で判定が下される。よくしたもので、業績はどの経営者も公平に裁いてくれる。

 3月期決算会社でいうと第2四半期(9月中間期)の開示が近づいている。10月後半~11月には各企業の第2四半期決算が発表される。
 決算結果は、経営者&経営能力を映す鏡にほかならない。下方修正、減益・減配などに陥るケースの多くは経営者&経営能力に問題があるということになりかねない。

 もちろん、この第2四半期は増額修正、増益・増配などよいサプライズ決算も相当多く続出するとみられている。経営者を映す鏡としての決算を眺めてみることにしたいものである。

(『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(ともに東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシスマネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(ともにPHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長・中部経済倶楽部専務理事(1971年~2005年)を経て現職。2012年から「経済コラム」連載。)

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