クレスコはアルスの連結子会社化を見直して割り負け修正買いが拡大し続伸

 クレスコ<4674>(東1)は、前日10日に10円高の3395円と続伸して引けた。今年9月25日に発表したアルス(東京都目黒区)の全株式取得・連結子会社化を見直し、同社が、働き方改革関連で強化しているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、ロボットによる業務自動化)での連携強化が期待できるとして割り負け修正買いが増勢となった。また企業担当者向けに今年10月30日に「RPA導入ファーストステップセミナー」、11月8月には「人工知能(AI)仕事はじめ」の各無料セミナーを開催することも、RPA・AI関連株人気の再燃を支援するとともに、業績押し上げ効果を発揮するとして買い手掛かりとなっている。

■アルスのパッケージソフトウェア開発事業と働き方改革のRPAが連携効果

 同社が今回連結子会社化したアルスは、1988年3月に設立され、人事・給与・ワームフロー関連のパッケージソフトウェアの開発事業を展開、日本アイ・ビー・エムの認定コアパートナーとして実績を積み、業績も連続黒字と安定的に推移している。安倍改造内閣では、優先政策の一つに働き方改革が掲げられ、企業の生産性向上、業務の自動化などを支援する優遇政策が推進される方向にあり、クレスコ本体が注力中のAI・RPA分野で相乗効果を発揮しグループ力の拡大、業績成長につながる見込みである。

 その今2019年3月期通期業績は、売り上げ355億円(前期比6.5%増)、営業利益32億8000万円(同6.1%増)、経常利益35億8000万円(同2.5%増)、純利益24億1600万円(同9.7%増)と予想され、純利益は、連続して過去最高を更新する。第2四半期以降では、人材、旅行、物流、カーエレクトロニクス、情報家電の各分野での成長を見込んでいる。配当については、前期に普通配当62円に創立30周年の記念配当10円を上乗せして年間72円(前々期実績55円)と大幅増配し、今期は、記念配当は一巡して年間64円を予定しているが、普通配当としては連続増配となる。

 アルスの連結子会社化による今期業績への影響は軽微にとどまるとしているが、安倍改造内閣による優遇政策下、無料セミナー開催の効果などの上乗せも期待できるところで、今年11月6日に発表予定の今期第2四半期(2018年4月~9月期)累計決算の動向が、要注目となる。

■年初来高値調整幅の3分の1戻しを達成し半値戻しの3700円台を早期奪回

 株価は、米中貿易戦争のエスカレートを嫌った世界同時株安が波及して年初来安値2530円まで調整し、中間配当の権利取りで3205円まで約700円高し、さらにアルス全株式取得で3490円高値へ一段高し、中間配当権利付き高値水準まで下押した。PERは15倍台、配当利回りは1.88%と相対的に割り負けており、年初来高値4875円から同安値への調整幅の3分の1戻しを達成したここからはまず半値戻しの3700円台奪回が速そうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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