【新規上場(IPO)銘柄】Delta-Fly Pharmaは12日にマザーズに上場、独自の「モジュール創薬」が注目

株式市場 IPO 鐘

 Delta-Fly Pharma<4598>(東マ)は、10月12日に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。同社は、独自の「モジュール創薬」により新規抗がん剤候補物質を探索し、前臨床試験及び臨床試験を実施して、同社開発品について製薬会社と医薬品の開発及び販売権等のライセンス契約を締結し、研究段階においては、提携製薬会社からの「契約一時金」、「マイルストーン」が主な収入となり、将来、提携対象の製品が上市に至った場合には、売上高に応じた「ロイヤリティ」収入を受け取る予定となっている。

 同社のパイプラインは、抗がん剤候補化合物DFP-10917(難治性・再発急性骨髄性白血病)が米国で臨床第Ⅲ相試験準備中、日本ではライセンス先の日本新薬で臨床第Ⅰ相試験準備中。抗がん剤候補化合物DFP-14323(肺がん等)が日本で協和化学工業と臨床第Ⅱ相試験準備中。抗がん剤候補化合物DFP-11207(固形がん(膵がん等))が欧米で臨床第Ⅱ相試験準備中。抗がん剤候補化合物DFP-14927(固形がん・血液がん)が米国で臨床第Ⅰ相試験準備中。抗がん剤候補化合物DFP-10825(腹膜播種移転がん(胃がん・卵巣がん))が前臨床試験中となっている。

 今2019年3月期第1四半期業績実績は、売上高ゼロ、営業損益1億0500万円の赤字、経常損益1億0400万円の赤字、最終損益1億0500万円の赤字に着地。第1四半期におけるマイルストーン等の計画はないため、事業収益はなく、開発パイプラインの進捗に伴い、既存試験の終了と新規試験の準備の境界時期で、研究開発費が負担となっており、赤字となっている。

 今19年3月期業績予想は、売上高2億円(前期比33.3%増)、営業損益6億8200万円の赤字(同2億4300万円の赤字)、経常損益7億3900万円の赤字(同2億4400万円の赤字)、最終損益7億4100万円の赤字(同2億4600万円の赤字)を見込む。上場で調達した資金は研究開発費や人件費に充てる計画で、年間配当は、無配を予想している。

 株価は、上場初日の10月12日に公開価格4770円を8.1%下回る4385円で初値をつけたが、同15日高値5380円と上昇。16日安値4405円と下げてモミ合っている。モジュール創薬は、患者情報に基づく創薬のため、治療効果が上がるうえ、従来の副作用が消失、基礎と臨床試験が少なく短時間だからコストが低く患者へのメリットも多く、新規性・進歩性により特許化できるから高い排他性に加え、患者情報に基づく創薬のため、開発スピードが早く、開発リスクも低いため、開発上のメリットもあり、今後の展開は注目される。当面は、同社のパイプラインの動向を見守るところだが、好材料が出れば、急騰する場面が期待されることから、ここからどこで下値を固めるか見極めたい。(株式評論家・信濃川)

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