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三洋貿易は調整一巡して反発期待、18年9月期営業増益・増配予想で19年9月期も収益拡大基調
- 2018/10/17 08:28
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
三洋貿易<3176>(東1)は自動車向けゴム・化学関連商品やシート部品を主力とする専門商社である。18年9月期は自動車関連が牽引して営業増益・増配予想である。そして19年9月期も収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で年初来安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。
■自動車業界向けゴム・化学関連製品やシート部品が主力の専門商社
ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面で実質無借金経営であることも特徴だ。
17年9月期セグメント別(連結調整前)売上高構成比は化成品39%、機械資材32%、海外現地法人22%、国内子会社6%、その他0%で、営業利益構成比は化成品30%、機械資材45%、海外現地法人13%、国内子会社10%、その他2%だった。
業界別には、自動車向けが主力で、OA・家電、塗料・インキ、その他化学などが続いている。自動車関連は各種合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサー)といった高付加価値品を中心に展開している。シートヒーターはカーボンファイバー仕様市場を独占し、ランバーサポートは世界市場6割を占有している。
飼料・エネルギー・リサイクル関連では飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。国内子会社のコスモス商事は地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。
なお収益面では、設備投資関連商材を含むため、3月期決算企業の期末にあたる第2四半期の構成比が高くなりやすい特性がある。また配当の基本方針は連結配当性向25%を下限の目途としている。
■M&Aも活用して業容拡大戦略・グローバル展開を推進
グループとして重点志向する事業領域への経営資源集中を進めるとともに、国内外でM&Aも活用して業容拡大戦略・グローバル展開を推進している。
17年7月精密鋳造用副資材・型材輸入販売の日本フリーマンを子会社化、17年9月子会社の三洋テクノスがマイクロポンプ専業メーカーの古江サイエンス(17年2月子会社化)を吸収合併、17年10月医農薬品中間体や電子材料など精密化学品を主力とする化学品専門商社アズロを子会社化、18年4月ソート(16年2月子会社化)を吸収合併した。
18年8月には大日本コンサルタント<9797>と合弁で合同会社ふじおやまパワーエナジーを設立した。静岡県の湯船原地区に設置した木質バイオマス発電所を管理運営する。
海外は米国、メキシコ、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナム、インドネシアに展開している。18年2月タイの連結子会社San-Thap Internationalを完全子会社化(18年7月Sanyo Trading Asiaに商号変更)した。
■18年9月期営業増益・増配予想、19年9月期も収益拡大基調
18年9月期の連結業績予想(8月3日に増額修正)は、売上高が17年9月期比18.1%増の800億円、営業利益が2.7%増の50億70百万円、経常利益が0.0%減の52億70百万円、純利益が4.4%増の35億円としている。配当予想(8月3日に増額修正)は3円増配の年間62円(第2四半期末30円、期末32円)で、予想配当性向は25.4%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比17.4%増の592億94百万円、営業利益が6.3%増の42億70百万円、経常利益が3.2%増の44億40百万円、純利益が7.9%増の29億64百万円だった。自動車内装用部品の好調が牽引し、販管費の増加を吸収した。
国内子会社は地熱分野の低迷で1.4%減収・16.8%減益だったが、化成品は自動車向けゴム関連が堅調で7.5%増収・1,4%増益、機械資材は自動車内装用部品が好調で23.1%増収・15.7%増益、海外現地法人は自動車関連の好調で33.3%増収・18.2%増益だった。
通期ベースでも主力の自動車関連商材が牽引し、成長に向けた先行投資費用の増加を吸収する。そして19年9月期も収益拡大基調だろう。
■長期ビジョンで20年9月期までにROE15%以上目指す
長期ビジョン「VISION2020」では、目標数値に20年9月期までに経常利益50億円、ROE15%以上、自己資本比率50%以上を掲げている。
基本方針は、盤石な財務基盤、強みを通じた価値創造、自由闊達な社風と機会創出の組織として、6つの戦略には、既存ビジネスの深化、ビジネスポートフォリオの明確化、新規ビジネスのプロジェクト立ち上げ、グローバル展開の加速、新規投資案件の推進、国内外の組織の強化を掲げている。
そして新中期経営計画(18年9月期~19年9月期)では、目標数値に19年9月期売上高828億円、経常利益54億80百万円を掲げている。新規ビジネスとして重点推進している木質バイオマスプロジェクトについては、独ブルクハルト社製の熱電併給装置を宮崎県串間市の大型案件向けに受注している。
なお10月1日には新経営理念のスローガンとして「最適解への挑戦」を掲げた。
■株価は調整一巡して反発期待
株価は地合い悪化の影響で10月12日に年初来安値1907円まで下押したが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。10月16日の終値は1934円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS244円53銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間62円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1663円75銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約281億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)