クレスコは戻り歩調で上値試す、19年3月期は9期連続増収増益予想

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。受注が高水準に推移して19年3月は9期連続増収増益予想である。株価は戻り歩調だ。そして地合い悪化の影響は限定的のようだ。上値を試す展開が期待される。なお10月26日に神戸市で女性向け限定のIR会社説明会、11月6日に第2四半期決算発表を予定している。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 18年3月期セグメント別売上高構成比は、ソフトウェア開発事業83%(金融・保険分野36%、公共・サービス分野23%、流通・その他分野24%)、組込型ソフトウェア開発事業16%(通信システム分野2%、カーエレクトロニクス分野6%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%である。

 18年1月システム開発のネクサスを子会社化、18年3月子会社メディア・マジックが商号をメクゼスに変更、18年4月子会社のアイオスとアプリケーションズを統合、18年9月アルスを子会社化した。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。配当に関しては、特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額をメドとした配当を継続的に実現することを目指している。

■中期成長に向けて先端技術への取り組み強化

 中期成長に向けた重点施策として、コア事業(システム基盤、アプリケーション開発、組み込み)を組み合わせたビジネスの推進、デジタル変革をリードする先端技術(AI、Robotics、IoT)の研究・拡大、品質・生産性の徹底的追求、サービスビジネスの推進、グループシナジー強化およびM&A・アライアンスの推進、開発体制の拡充(ニアショア、オフショア、ビジネスパートナー)、積極的な情報発信(PR、IR)などを推進している。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 17年11月には、眼疾患をスクリーニングする人工知能エンジン「Minervae SCOPE」を、医療機器メーカー向けに研究用として提供開始した。17年12月には、AI型電子カルテシステムと歯科診療所向けアシスタントロボットを開発した。18年7月には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)プラットフォーム「UiPath」を提供する米UiPathとの認定リセラー・パートナー契約締結を発表した。

■19年3月期は9期連続増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.5%増の355億円、営業利益が6.1%増の32億80百万円、経常利益が2.5%増の35億80百万円、純利益が9.7%増の24億16百万円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.9%増の81億13百万円で、営業利益が21.0%減の4億72百万円、経常利益が0.8%増の7億25百万円、純利益が16.5%減の4億13百万円だった。不採算プロジェクトの発生や販管費の増加などで営業減益だった。営業外収益ではデリバティブ評価益を計上した。

 ソフトウェア開発は4.3%増収(金融分野が14.9%減収、公共サービス分野が28.2%増収、流通・その他分野が15.4%増収)だが、メガバンク大型案件の一巡、公共サービス分野および流通・その他分野の子会社における不採算プロジェクトの発生などで24.9%減益だった。

 組み込み型ソフトウェア開発は14.2%増収(通信分野が3.2%増収、カーエレクトロニクス分野が14.1%増収、情報家電・その他分野が16.3%増収)で26.3%増益だった。受注単価の見直し、生産性改善への取り組み、開発体制の強化も寄与して増収増益だった。

 第1四半期は営業減益だったが、受注が高水準に推移して通期は9期連続増収増益予想である。第2四半期以降の挽回を期待したい。

 配当予想は記念配当10円を落として年間64円(第2四半期末32円、期末32円)としている。18年3月期との比較で8円減配だが、普通配当ベースでは2円増配となる。予想配当性向は29.0%となる。

■株価は戻り歩調で上値試す

 なお行使価額修正選択権付第5回および第6回新株予約権について、10月10日に全部を取得・消却した。

 株価は8月の年初来安値2630円から反発して10月1日の3490円まで上伸した。戻り歩調だ。その後の地合い悪化の影響は限定的のようだ。10月17日の終値は3375円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS220円84銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間64円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1379円38銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約405億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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