【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ティー・ワイ・オーは15年7月期好業績見通しを評価して上値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー<4358>(東1)の株価は、第2四半期累計(8月~1月)の増益を好感する形で動意づき、15年1月の186円、14年7月の195円を突破して3月24日の207円まで上伸した。15年7月期の好業績見通しを評価して上値を試す展開だろう。14年1月の209円は射程圏であり、これを突破すれば次のターゲットは08年5月の220円となる。

 広告事業(広告代理店向けのTV-CM企画・制作およびポスト・プロダクション業務、広告主向けWEB広告およびプロモーションメディア広告の企画・制作、クロスメディア広告業務)、映像関連事業(アニメーションおよびミュージックビデオの企画・制作)を展開している。

 3月6日、民事再生手続き中のスカイマークに対して、ブランド再生に関する業務支援を行うことが正式決定したと発表している。投融資は行わずに、スカイマークのブランド再生に必要であると判断される領域のクリエイター、関連スタッフ、ノウハウなどを無償で提供する。スカイマークの再生後は広告受注に繋がると期待される。

 3月11日に発表した今期(15年7月期)第2四半期累計(8月~1月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.2%増の125億96百万円、営業利益が同12.0%増の7億21百万円、経常利益が同24.3%増の7億09百万円、純利益が同67.7%増の4億39百万円だった。

 売上面では既存の大型得意先からの受注が好調に推移し、新規案件の獲得も寄与した。期末受注残高は同4.2%増加の74億円だった。利益面では収益管理の徹底、人員最適配置など組織体制の整備の効果に加えて、販管費で前期計上した上場市場変更費用・株式売出し関連費用などの一巡も寄与した。

  なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(8月~10月)52億99百万円、第2四半期(11月~1月)72億97百万円、営業利益は第1四半期3億38百万円、第2四半期3億83百万円と拡大基調である。

 通期の連結業績見通しは前回予想(9月11日公表)を据え置いて、売上高が前期比7.3%増の285億円、営業利益が同8.0%増の18億50百万円、経常利益が同12.6%増の17億円、純利益が同50.9%増の9億円としている。

 広告事業の好調が牽引し、純利益は特別損失の一巡も寄与する。14年9月に連結子会社TYOアニメーションズに対する債権放棄を発表したが、過年度において全額引当済みのため今期業績に与える影響は軽微としている。

 配当予想(9月11日公表)は年間4円(期末一括)としている。前期比2円減配の形だが、前期の年間6円には上場市場変更記念配当3円を含んでいるため、普通配当ベースでは1円増配となる。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が44.2%、営業利益が39.0%、経常利益が41.7%、純利益が48.8%である。やや低水準の形だが、広告主直接取引案件が下期に集中しているため挽回は可能だろう。

 受注は電気・情報通信、衣料、自動車、飲料関連を中心に好調を持続している。広告代理店経由の大型案件、大口広告主との直接取引案件とも増加基調であり、映像関連事業では高利益率のライブ映像案件が拡大基調のようだ。売上原価管理の徹底も寄与して売上総利益率が上昇し、通期ベースでも好業績が期待される。

 中期経営計画では目標数値として17年7月期売上高400億円、営業利益27億円を掲げ、株主還元として配当性向25%以上目標と株主優待の継続実施の方針を示している。

 広告市場は拡大基調であり、国内TV-CM制作業界では当社を含む大手制作3社による寡占化傾向を強めているようだ。国内の景気回復や20年東京夏季五輪開催も追い風となるため事業環境は中期的に良好だろう。

 海外の新規展開強化に向けて14年8月にはアジア戦略部を新設した。そして来期(16年7月期)に予定していたアジアにおける戦略的M&Aを、今期中に前倒しで実施する可能性があるようだ。海外展開も寄与して中期的に収益拡大基調が期待される。

 なお14年10月に株主優待制度の拡充を発表している。15年7月期については、通常株主優待であるクオカード贈呈(毎年1月31日現在500株以上保有株主に対してクオカード1000円相当、2500株以上保有株主に対してクオカード3000円相当、5000株以上保有株主に対してクオカード5000円相当を贈呈)に加えて、当社オリジナル株主優待を継続する。

 オリジナル株主優待の内容(14年12月発表)は、15年1月31日現在500株以上保有株主を対象として、応募者の中から抽選で3名にオリジナルミュージックビデオ「株主様!あなたがアーティスト」を制作して贈呈する。

 株価の動きを見ると、第2四半期累計業績を好感する形で動意づき、15年1月の186円、さらに14年7月の195円を突破して3月24日の207円まで上伸した。

 3月27日の終値198円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円87銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間4円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS77円18銭で算出)は2.6倍近辺である。

 週足チャートで見るとボックスレンジから上放れの形となり、13週移動平均線と26週移動平均線も上向きに転じた。強基調に転換した形だ。15年7月期の好業績見通しを評価して上値を試す展開だろう。14年1月の209円は射程圏であり、これを突破すれば次のターゲットは08年5月の220円となる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る