- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】朝日ラバーは調整の最終局面、16年3月期の営業損益改善期待で反発のタイミング
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】朝日ラバーは調整の最終局面、16年3月期の営業損益改善期待で反発のタイミング
- 2015/3/30 07:28
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
車載照明用ゴム製品の朝日ラバー<5162>(JQS)の株価は、軟調展開が続いて3月27日には1045円まで調整した。ただし14年9月の上場来高値3435円、14年11月の戻り高値3400円から3分の1水準まで下落して調整のほぼ最終局面だ。16年3月期の営業損益改善期待で反発のタイミングだろう。
自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。
自動車関連の車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。車載用「ASA COLOR LED」は高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。
シリコーンゴムや分子接着技術をベースにした製品開発力が強みだ。新製品では分子接着技術を活用した機能製品RFIDタグ用ゴムの増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始した。
またNEC<6701>のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスについては14年10月に量産を開始した。マイクロ流体デバイスは分子接着技術を活用した製品で、NEC向け以外の複数案件も商談が進行中のようだ。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(2月6日に営業利益と経常利益を減額、純利益を増額)は、売上高が前期比6.6%増の60億50百万円、営業利益が同53.9%減の1億32百万円、経常利益が同48.0%減の1億54百万円、純利益が同33.0%増の2億14百万円としている。配当予想(5月13日公表)は前期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)としている。
売上面では、自動車関連製品のスイッチ用ゴム製品および機能製品のRFIDタグ用ゴム製品が顧客側の在庫調整の影響で計画を下回る見通しだが、工業用ゴム事業において自動車関連製品の「ASA COLOR LED」が計画を上回る見通しだ。
営業利益と経常利益については、プロダクトミックスの悪化、役員退職慰労引当金繰入額の計上が影響する。純利益については受取保険金1億14百万円の特別利益計上、役員退職慰労金に対する繰延税金資産計上に伴う税金費用の減少が寄与する。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比8.4%増収、同55.5%営業減益、同54.9%経常減益、同16.9%最終増益だった。プロダクトミックスの悪化、役員退職慰労引当金繰入額の計上などで営業減益、経常減益となり、受取保険金の特別利益計上で最終増益だった。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)14億85百万円、第2四半期(7月~9月)15億40百万円、第3四半期(10月~12月)15億21百万円で、営業利益は第1四半期55百万円、第2四半期1億01百万円、第3四半期50百万円の赤字である。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.1%、営業利益が80.3%、経常利益が76.0%、純利益が79.0%である。通期利益上振れの可能性もあるだろう。
売上面では車載用の「ASA COLOR LED」が好調に推移しており、来期(16年3月期)は役員退職慰労引当金繰入額計上という特殊要因が一巡して営業損益改善が期待される。
14年5月発表の第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)では、20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」としている。
中期経営方針は、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備としている。第1ステージ「V-1計画」の目標数値には17年3月期の売上高80億円(自動車分野37億円、医療分野13億円、ライフサイエンス分野16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げ、設備投資計画は3期間累計で24億50百万円としている。成長分野への積極投資で中期的に収益拡大基調が期待される。
株価の動きを見ると、水準を切り下げて軟調展開が続いている。3月27日には1045円まで調整した。ただしマイクロ流体デバイスを材料視した14年9月の上場来高値3435円、14年11月の戻り高値3400円から3分の1水準まで下落して調整のほぼ最終局面だ。
3月27日の終値1071円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円05銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS705円77銭で算出)は1.5倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形だ。また週足チャートで見ると52週移動平均線割れ水準まで下落した。ただし調整のほぼ最終局面であり、16年3月期の営業損益改善期待で反発のタイミングだろう。