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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サクセスホールディングスは調整の最終局面、中期成長力を見直して反発のタイミング
- 2015/3/30 07:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
保育園運営のサクセスホールディングス<6065>(東1)の株価は軟調展開が続き、3月27日には上場来安値となる1185円まで調整する場面があった。ただし13年5月高値3810円からほぼ3分の1水準まで下落して調整の最終局面だ。アベノミクス成長戦略が追い風であり、中期成長力を見直して反発のタイミングだろう。
保育園を運営するサクセスアカデミーの持株会社で、病院・大学・企業などが設置主体の事業所内保育室を受託運営する受託保育事業と、認可保育園・認証保育所・学童クラブ・児童館・全児童対策事業施設など公的保育施設を運営する公的保育事業を展開している。売上規模で業界3位である。
従量制の請求方法や24時間365日の運営対応など、利用者の視点に立った最適な保育サービスを提供していることが強みだ。受託保育事業では委託先の予算や要望に合わせた保育設計で、さまざまな利用定員数、施設場所、利用時間帯、保育内容などを実現している。公的保育事業は利用者から徴収する利用料と自治体からの補助金が当社の収入となる。
14年12月期末時点の運営施設数は、受託保育事業が167施設(13年12月期末比5施設増加)、公的保育事業が88施設(認可保育園43施設、認証保育所5施設、学童クラブ等27施設、小規模保育等13施設)(同16施設増加)の合計255施設(同21施設増加)である。地域別には神奈川県と東京都を地盤としている。
成長に向けた重点戦略として、受託保育事業は広域エリアでの拡充、公的保育事業は首都圏中心の新規開園と小規模施設の運営を進め、施設運営の効率向上、人材確保・育成面でのジェイコムホールディングス<2462>グループとの連携強化、認可保育園開設用不動産の確保などを掲げている。24時間保育や英語教育の実施など高付加価値の保育サービスの提供、多様な保育需要に応じたサービスの提供も強化している。
今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月10日公表)は、売上高が前期比12.5%増の113億75百万円、営業利益が同36.8%減の2億33百万円、経常利益が同3.5%減の6億58百万円、純利益が同7.1%減の3億68百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。
経常利益と純利益については営業外収益での公的保育事業に係る設備補助金収入が寄与するが、新規施設開設費用、保育士募集採用費や人件費の増加で減益見通しとしている。ただし新規施設開設などで2桁増収見通しだ。ニーズが高い認可保育園については前期(8施設)を上回る新規開設を計画している。
なお14年12月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)23億66百万円、第2四半期(4月~6月)24億75百万円、第3四半期(7月~9月)25億41百万円、第4四半期(10月~12月)27億31百万円、営業利益は第1四半期59百万円、第2四半期40百万円、第3四半期1億64百万円、第4四半期1億06百万円、経常利益は第1四半期57百万円、第2四半期2億81百万円、第3四半期1億55百万円、第4四半期1億89百万円である。
毎年4月に新規施設開園が集中する傾向が強いため、期前半は開園費用負担が先行して営業損益は低水準となり、公的保育事業に係る設備補助金収入の増減なども影響して、四半期別利益はデコボコしやすい収益構造だ。
全国の保育所利用児童数は増加基調で、待機児童数は緩やかに減少傾向となっているが依然として解消せず、潜在需要も顕在化して都市部を中心に保育サービスの需要は高水準である。そしてアベノミクス成長戦略では「女性活用推進」を重点分野に位置付け、17年度の待機児童解消を目指して「子ども・子育て支援新制度」「保育士確保プラン」「子育て支援員制度導入」など、規制緩和、制度面での支援、運営補助金拡大などの動きが活発化している。
15年12月期は減益見通しだが、国の重点政策を追い風とする中期成長シナリオに変化はなく、規模拡大に伴って収益改善基調が期待される。
株価の動きを見ると水準を切り下げて軟調展開が続いている。3月27日には2月安値1188円を割り込んで上場来安値となる1185円まで調整する場面があった。15年12月期の減益見通しも嫌気されているようだ。ただし13年5月高値3810円からほぼ3分の1水準まで下落して調整の最終局面だろう。
3月27日の終値1203円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS70円36銭で算出)は17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間配当30円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS378円49銭で算出)は3.2倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形だが、今期予想配当利回りには割安感も台頭している。高値からほぼ3分の1水準まで下落して調整の最終局面であり、アベノミクス成長戦略を追い風とする中期成長力を見直して反発のタイミングだろう。