マルマエは売られ過ぎ感、19年8月期減益予想だが受注高水準で上振れ余地

 マルマエ<6264>(東2)は、半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。19年8月期は減価償却費増加などで減益予想だが、受注が高水準に推移して上振れ余地がありそうだ。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 半導体分野の需要拡大に対応するため、パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、出水事業所として18年4月稼働した。電子ビーム溶接関連の生産も開始した。作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。
 また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。

■19年8月期減益予想だが受注高水準で上振れ余地

 18年8月期の非連結業績は、売上高が17年8月期比51.2%増の45億88百万円で、営業利益が61.4%増の12億34百万円、経常利益が64.3%増の12億11百万円、純利益が60.8%増の8億66百万円だった。配当は17年8月期比10円増配(17年3月1日付株式2分割換算後)の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。配当性向は27.8%である。

 受注が高水準に推移して大幅増収だった。売上高の内訳は半導体分野が58.6%増の34億10百万円、FPD分野が37.6%増の10億60百万円、その他分野が38.7%減の30百万円だった。コスト面では労務費、外注加工費、減価償却費が増加し、出水事業所取得に伴う登録免許税も発生したが、大幅増収効果で吸収して大幅増益だった。

 19年8月期の非連結業績予想は、売上高が18年8月期比6.8%増の49億円だが、営業利益が19.0%減の10億円、経常利益が19.1%減の9億80百万円、純利益が20.3%減の6億90百万円としている。配当予想は18年8月期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は37.8%となる。

 売上面は順調だが、減価償却費や労務費の増加などで減益予想としている。ただし受注が高水準に推移して上振れ余地がありそうだ。

 なお月次の受注残高(速報値)を見ると、18年9月は半導体分野が6億06百万円(前月比10.2%減、前年同月比6.9%増)、FPD分野が1億47百万円(前月比38.7%減、前年同月比43.0%減)、その他分野が22百万円、合計が7億76百万円(前月比18.6%減、前年同月比6.6%減)だった。

 半導体分野は、一部デバイスメーカーのDRAM向け投資が先送りされているが、別メーカーの3D-NAND向け投資が拡大し、ロジック向け投資も再拡大し始めている。出水事業所稼働に伴う生産能力増強で一時的に受注残高が低下しているが、エッチングやCVD工程におけるシェア拡大で受注増加を推進する。FPD分野は中小型パネル向けが停滞しているが、中国における大型液晶テレビ向けの投資が堅調なため、大型パネル向けに多工程の取り込みで受注増加を推進する。その他分野では太陽電池関連の新規受注増加を推進する。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。

■株価は売られ過ぎ感

 株価(18年1月1日付で東証マザーズから東証2部に市場変更)は10月26日に747円まで下押した。19年8月期減益予想を嫌気し、地合い悪化も影響して年初来安値更新の展開だ。

 ただし25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%以上に拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。10月26日の終値は757円、今期予想PER(会社予想EPS52円86銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は約2.6%、前期実績PBR(前期実績BPS393円21銭で算出)は約1.9倍、時価総額は約99億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る