ファーストコーポレーションは売り一巡して反発期待、19年5月期増収増益予想で1Qは2桁増益と順調

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 ファーストコーポレーション<1430>(東1)は分譲マンション建設に特化したゼネコンである。造注方式による高利益率を特徴としている。豊富な受注残を背景に19年5月期増収増益予想である。第1四半期は2桁増益と順調だった。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して反発を期待したい。

■分譲マンション建設に特化したゼネコン、造注方式に特徴

 東京圏(1都3県)を中心に、分譲マンション建設に特化したゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。

 造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。当社がマンション・デベロッパーを選定して条件を交渉するため入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。分譲マンション建設のスペシャリストとして、造注方式を核としたアグレッシブな事業展開がスピード成長を可能にしている。

 品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。

 建設請負先は飯田グループ、タカラレーベン、NTT都市開発、三井不動産レジデンシャル、阪急不動産など、大手を中心とする優良なマンション・デベロッパーである。18年4月には九州支店を開設して事業エリア拡大を目指している。

 収益面では受注高・受注残高の動向がポイントとなる。また完成工事高の収益認識は工事進行基準だが、不動産売上(マンション用地販売)によって四半期業績が変動する可能性がある。

■19年5月期増収増益予想で1Qは2桁増益と順調

 19年5月期の非連結業績予想は、売上高が18年5月期比20.2%増の250億18百万円、営業利益が7.6%増の24億18百万円、経常利益が7.3%増の23億96百万円、純利益が5.1%増の16億49百万円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比3.8%減の45億53百万円だが、営業利益が13.5%増の4億65百万円、経常利益が13.5%増の4億63百万円、純利益が13.7%増の3億17百万円だった。微減収だが、完成工事総利益率が上昇して2桁増益と順調だった。受注は1件・15億54百万円だった。

 通期ベースでも豊富な受注残(期首繰越残高205億92百万円)を背景に、不動産売上の回復も寄与して増収増益予想である。好業績を期待したい。配当予想は18年5月期と同額の年間38円(期末一括)で、予想配当性向は30.8%となる。

■新規分野進出で収益拡大目指す

 中期経営計画Innovation2018では、目標数値に21年5月期売上高312億80百万円、経常利益33億66百万円、受注高250億円、期末受注残高305億18百万円を掲げている。

 重点戦略として、東京圏(1都3県)でのシェア獲得と地位確立、人員拡充や継続的教育など業容拡大を支える体制の構築、効率化の追求や施工品質を保つことによるコスト低減を推進する。

 またホテル業との競争激化による用地確保の苦戦、さらに人員確保苦戦に伴い、共同事業収入の拡大、アクティブ・シニア向けマンションへの参入、九州支店開設による事業エリア拡大、リノベーション事業への参入など、新規分野への進出による収益拡大を目指す。

 中期的な目標としては完成工事利益率16%維持、売上高営業利益率10%以上への上積み、自己資本比率40%超、ROA20%超、ROE40%超の水準を掲げている。利益還元は業績連動型配当性向30%維持を基本方針として、内部留保の状況によって配当性向の向上を検討するとしている。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度は毎年11月30日現在で、100単元(1万株)未満保有株主に対してクオカード1000円分、100単元以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。

■株価は売り一巡して反発期待

 株価は10月29日に1002円まで下押した。地合い悪化も影響して年初来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。10月29日の終値は1002円、今期予想PER(会社予想EPS123円51銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は約3.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS389円72銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約134億円である。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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