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シルバーライフは調整一巡して反発期待、19年7月期増収増益予想
- 2018/10/30 08:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
シルバーライフ<9262>(東マ)は、後期高齢者向けに特化して配食サービスを展開している。FC本部としての調理済み食材販売が主力である。19年7月期もFC加盟店が順調に増加し、各事業とも伸長して増収増益予想である。株価は9月の上場来高値から反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、調整一巡して反発を期待したい。
■高齢者向け配食サービスを展開
自分で調理することや買い物に行くことが困難な一人暮らしなど、要介護の後期高齢者向けに特化して配食サービスを展開している。
販売(事業)区分は、FC本部として加盟店に調理済み食材を販売するFC加盟店事業、高齢者施設等に調理済み食材やチルド弁当を販売する高齢者施設等事業、宅配弁当業者などから相手先ブランドで冷凍弁当を受託製造・販売するOEM事業としている。
18年7月期の事業別売上構成比は、FC加盟店事業が73%、高齢者施設等事業が17%、OEM事業が10%だった。主力のFC加盟店事業ではロイヤリティを受け取るが、大部分が調理済み食材の売上である。
特徴・強みとしては、要介護の後期高齢者向け配食に特化していること、普通食からやわらか食まで低価格かつ豊富なメニューを用意していること、FC本部として調理済み食材販売を主力としていること、配食サービスで求められる多品種ランダム生産に対応したフレキシブルかつローコスト製造のノウハウを蓄積していること、管理栄養士による商品開発から、自社工場(一部外注)による製造、冷凍・冷蔵倉庫における保管、FC加盟店による配達まで一気通貫で展開していること、さらに高齢者の自宅まで届けるFC加盟店の配達ネットワークを活用して周辺ビジネスにも展開できることなどがある。
■配食サービス店舗数1位
主力のFC加盟店事業は、09年4月開始の「まごころ弁当」と、14年2月開始の「配食のふれ愛」の2ブランドで展開し、調理済み食材を販売している。18年3月には一部のFC加盟店において、オフィス向けランチ宅配弁当「楽らく弁当」の販売も開始した。
18年7月末時点のFC店舗数は「まごころ弁当」381店舗と「配食のふれ愛」245店舗の合計626店舗(17年7月期末比63店舗増加)である。配食サービスの店舗数として1位規模である。
FC加盟店にとっては低コストで簡単に開業できるというメリットがある。FC本部から仕入れた調理済み食材を盛り付けて配達するだけの簡単なオペレーションのため、調理経験や大型厨房設備が無くても開業できる。また来店型店舗でないため立地を問わない。このためFC加盟店は順調に増加している。
高齢者施設等事業はサービス名称「まごころ食材サービス」で、調理済み食材やチルド弁当を販売している。18年7月末時点の契約施設数は4406施設(17年7月期末比1301施設増加)である。民間配食業者の効率的な食材販売サービスへの需要が高まり、新規契約が増加基調である。なお配達はFC加盟店の配達ネットワークを利用している。
OEM事業は、宅配弁当業者などから相手先ブランドで冷凍弁当を受託製造している。18年4月にはヨシケイ開発(静岡市)への供給を開始した。2社目のOEM供給先である。
■19年7月期増収増益予想
19年7月期の非連結業績予想は、売上高が18年7月期比17.9%増の77億16百万円、営業利益が14.7%増の6億87百万円、経常利益が9.1%増の7億39百万円、純利益が7.4%増の4億63百万円としている。食材価格の上昇、第2工場のための人員強化に伴う人件費の増加、運賃および業務委託費の増加などを見込むが、FC加盟店が順調に増加し、各事業とも伸長して増収増益予想である。
事業別売上高の計画は、FC加盟店事業が15.3%増の55億11百万円、高齢者施設等事業が29.2%増の14億19百万円、OEM事業が17.0%増の7億82百万円としている。FC加盟店事業の期末店舗数は680店舗前後(18年7月期末比50~60店舗増加)の想定である。OEM事業では18年7月期に新規開拓した販売先が通期寄与するが、新たな販売先は見込んでいない。
■生産能力増強して中期的に収益拡大期待
成長戦略としては、積極的なFC加盟店の募集、セカンドブランドである「配食のふれ愛」による店舗網の拡大、高齢者施設等向け新規開拓と継続契約へのフォロー、OEM販売先の新規獲得などを掲げている。店舗数は中期的に1500店舗を目指している。販売チャネルの増加による食材販売の増加を目指す戦略だ。
高齢化が進展して後期高齢者人口が増加し、在宅介護へのシフトも追い風となって配食サービスの利用者の増加が予想される。また高齢者施設等においても、調理者不足に伴って外部委託の需要が高まっている。事業環境は良好である。
18年4月発表した新工場(仮称:第2関東工場、20年初稼働予定)建設用地取得に関しては、総投資額(土地、建物、設備)を14億円としていたが、冷凍・冷蔵倉庫部分の拡張を追加したため、総投資額を25億円~28億円程度に修正する可能性(18年12月中に発表見込み)がある。20年7月期および21年7月期は減価償却費の増加が利益圧迫要因となるが、生産能力を増強して中期的に収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡して反発期待
株価は9月の上場来高値7380円から反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げた。10月29日には4170円まで下押した。ただし売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。
10月29日の終値は4205円、今期予想PER(会社予想のEPS88円08銭で算出)は約48倍、前期実績BPS(前期実績のBPS574円92銭で算出)は約7倍、時価総額は約221億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)