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LIFULLは戻り歩調、19年9月期増収増益予想(Mitula買収完了後に修正予定)で配当性向引き上げ
- 2018/11/1 06:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営の不動産情報サービス事業を主力として、生活関連領域や海外への事業展開を加速している。18年9月期は実質増収・大幅増益だった。19年9月期も増収増益予想で、Mitula買収完了(19年1月期見込み)後に修正予定としている。収益拡大が期待される。また配当方針を変更して18年9月期以降の配当性向の目途を引き上げた。これを好感して株価は急反発している。戻り歩調だ。
■不動産情報サービスを主力に生活関連領域や海外への事業展開を加速
日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインTrovitが展開する世界最大級アグリケーションサイト「Trovit」運営の海外事業、その他事業(LIFULL seniorやLIFULL FinTechなど)を展開している。
不動産情報サービスを主力に、生活関連領域や海外への事業展開を加速している。なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。
■世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーを目指す
スローガンに「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニー」を掲げ、LIFULL HOME‘SやTrovitを通じて世界の不動産や暮らしに関するデータを蓄積し、先端技術を活用することで中期的な成長を目指している。中期経営計画の定量目標には20年9月期売上収益500億円台、EBITDA率20%前後を掲げている。
18年3月には、ブロックチェーン技術を活用した不動産投資プラットフォーム運営のBitOfProperty(シンガポール)に出資した。18年6月には、不動産情報共有におけるブロックチェーン技術を活用したプラットフォーム商用化に向けて、全保連、ゼンリン、ネットプロテクションズ、NTTデータ経営研究所、NTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパンとの共同検討開始を発表した。
海外事業では18年5月に、Mitula(Mitula Group Limited)を完全子会社化するための友好的買収手続き開始合意を発表した。買収時期については書類作成等の一部工程で遅延が発生しているが、最終的には19年1月に完了して連結開始見込みとしている。TrovitとMitulaを経営統合してグローバルプラットフォーム構築を加速させる。
一方で、リソース集中戦略を進めるためLIFULL HOME‘Sリフォームを18年9月末終了し、LIFULL Remodelを18年終了予定としている。また18年9月には、保険ショップ検索・予約サイト運営のLIFULL FinTechの広告事業の一部を日本生命に譲渡(18年12月~19年1月予定)すると発表した。海外ではTrovitとMitulaに集中するため、LIFULL豪州とLIFULLドイツを撤退予定としている。
■国内中古住宅市場活性化への取り組みも加速
国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速している。17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化し、不動産投融資型クラウドファンディング事業を展開している。
民泊関連は楽天<4755>と共同で17年6月設立した楽天LIFULL STAYが展開し、17年12月世界最大のオンライン宿泊予約サイト運営のBooking B.V.と業務提携、18年9月ALSOK<2331>と業務提携、18年9月ベトナムでオンライン旅行予約プラットフォームを展開するLuxstay社と業務提携した。
空き家の活用では、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」によって、全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。
また18年6月には楽天LIFULL STAYが、世界最大級のバケーションレンタルサイト運営の米ホームアウェイ、および一般社団法人全国古民家再生協会と、古民家の認知・価値拡大、地域活性化を目指して業務提携した。そして18年10月には「古河市における歴史的建築物活用に関する協力協定」を締結した。
■19年9月期増収増益予想、Mitula買収完了後に修正予定
18年9月期の連結業績(IFRS、17年10月~18年9月の12ヶ月決算、17年9月期は6ヶ月決算)は、売上収益が345億64百万円、EBITDA(償却前営業利益)が53億82百万円、営業利益が43億15百万円、親会社所有者帰属純利益が28億59百万円だった。前年同期間(16年10月~17年9月)との比較で売上収益は7.6%増収、EBITDAは37.8%増益だった。
全セグメントが増収(HOME‘S関連事業6.3%増収、海外事業15.7%増収、その他事業12.5%増収)となり、人件費や広告宣伝費の増加を吸収した。本社移転費用の一巡も寄与して大幅増益だった。HOME‘S関連事業はARPA(1顧客あたり売上高)向上施策の途上だが顧客数が増加した。ARPAも第4四半期には2.7%伸長した。海外事業はTrovitの成長が牽引した。その他事業は主にLIFULL seniorとLIFULL FinTechが好調だった。
19年9月期連結業績予想(IFRS)は、売上収益が18年9月期比12.9%増の390億22百万円で、EBITDA(償却前営業利益)が7.6%増の57億91百万円、営業利益が10.1%増の47億51百万円、親会社所有者帰属純利益が9.5%増の31億32百万円としている。HOME‘S関連事業のARPA(1顧客あたり売上高)向上施策として組織再編を実施し、メディア力の強化やプロダクトの強化を推進する。
なお買収予定のMitulaを含まず、買収完了(19年1月見込み)後に業績予想を修正予定としている。買収コストを考慮せず、Mitulaの業績を単純合算した場合、売上収益は427億円、EBITDAは67億円となる。Mitulaも寄与して収益拡大が期待される。
また配当方針を変更して18年9月期以降の配当性向の目途を20%から25%に引き上げた。18年9月期と19年9月期の配当は現時点で未定としている。内容判明次第速やかに公表する。
■株価は急反発して戻り歩調
株価は地合い悪も影響して安値を更新し、10月11日には531円まで下押したが、配当性向引き上げを好感して急反発している。10月31日には764円まで上伸した。戻り歩調だ。
10月31日の終値は764円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS26円39銭で算出)は約29倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS184円32銭で算出)は約4.1倍、時価総額は約908億円である。
週足チャートで見ると、大陽線を立てて13週移動平均線と26種移動平均線を一気に突破した。基調転換して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)