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エイジアは自己株式取得と消却も好感して急反発、19年3月期2桁増収増益・増配予想
- 2018/11/2 06:47
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイジア<2352>(東1)はメール配信システムの大手である。中期成長に向けてAI(人工知能)を活用した新サービスを強化している。19年3月期第2四半期累計はクラウドサービスが牽引して増収営業増益だった。通期は売上高を上方修正して2桁増収増益・増配予想である。株価は自己株式取得と消却も好感して急反発している。戻りを試す展開が期待される。
■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力
自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズを提供するアプリケーション事業を主力として、システム受託開発なども展開している。18年3月期セグメント別売上高構成比はアプリケーション事業81%、コンサルティング事業18%、オーダーメイド開発事業1%である。
メール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。多様な業界の企業や官公庁に導入され、国内メール配信パッケージ市場でシェア1位である。
WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心として、メール共有システム「WEBCAS mailcenter」などをラインナップに抱えるe-CRMアプリケーションシリーズである。17年9月にはWEBCASシリーズ導入企業が4000社を突破している。
新製品・サービスとして、マーケティングオートメーション「WEBCAS Auto Relations」や、人工知能アルゴリズムを駆使した感性分析型テキストマイニングシステム「WEBCAS Sense Analyzer」も発売している。
18年1月マレーシアのData Cohorts社と戦略的パートナーシップ協定を締結、18年3月パーソナル人工知能「SENSY」を開発する慶応大学発AIベンチャーのSENSY社と業務提携、18年5月モバイルソリューション製品開発・販売のAOSモバイルと業務提携、18年7月乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を提供するヴァル研究所と業務提携、18年9月マルケトのエンゲージメントプラットフォーム「Marketo」とWEBCASシリーズのメール配信エンジンを連携した。
また18年8月にはベビー服ECサイト「べびちゅ」運営の子会社ままちゅを設立し、18年9月ハモンズからベビー服ECサイト運営事業を譲り受けた。
■20年3月期営業利益5億02百万円目標
中期経営計画ではビジョンに「クロスチャネル対応マーケティングプラットフォーム構築」を掲げ、人工知能を活用したマーケティング革新に取り組んでいる。目標値には20年3月期売上高18億70百万円、営業利益5億02百万円、経常利益5億05百万円、純利益3億25百万円を掲げている。
収益面ではシステム開発関連のため下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。利益配分については、意識する配当性向を17年3月期から30%前後に引き上げている。
■19年3月期2Q累計は営業増益、通期は2桁増収増益・増配予想
19年3月期の連結業績予想(子会社ままちゅ新設に伴って10月31日に売上高を90百万円上方修正)は、売上高が18年3月期比17.5%増の17億90百万円、営業利益が20.6%増の4億20百万円、経常利益が16.0%増の4億20百万円、純利益が16.4%増の2億75百万円としている。配当予想は2円増配の年間20円(期末一括)で、で予想配当性向は29.6%となる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.7%増の7億80百万円で、営業利益が2.0%増の1億53百万円、経常利益が2.7%減の1億52百万円、純利益が1.1%増の98百万円だった。計画をやや下回ったが、クラウドサービスが牽引して増収営業増益だった。営業利益は第2四半期累計として過去最高だった。
営業体制再編などの施策が奏功して、アプリケーション事業(4.5%増収)におけるクラウドサービス(8.0%増収)が第2四半期から2桁成長に復調した。コンサルティング事業(19.8%増収)では、子会社FUCAのWeb制作案件が増加した。
通期ではクラウドサービスの大幅伸長を見込み、2桁増収増益予想である。好業績を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象としてクオカード1000円分を贈呈する。
■株価は自己株式取得・消却も好感して急反発
なお10月31日に、自己株式取得(上限7万株・1億円、取得期間18年11月1日~11月14日)と自己株式消却(7万株、消却日11月15日)を発表した。
株価は10月30日に年初来安値1151円まで下押す場面があったが、自己株式取得・消却も好感して急反発している。11月1日の終値は1441円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS68円11銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS366円08銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約65億円である。戻りを試す展開を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)