ヨコレイは前期業績の下方修正を織り込み11月14日予定の決算発表に期待を高めて5連騰
- 2018/11/9 08:27
- 編集長の視点
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日8日に19円高の944円と変わらずを含めて5営業日続伸して引け、今年10月25日につけた年初来安値857円からの底上げ幅を拡大させた。同社株は、来週央14日に9月期決算の発表を予定しているが、今年8月10日の前2018年9月期業績の下方修正は織り込み済みとして、今2019年3月期業績の増益転換を先取りして下げ過ぎ訂正買いが増勢となった。テクニカル的にも、今年10月25日に突っ込んだ年初来安値でダブル底を形成し、ネックラインの949円を上抜く直前までリバウンドしており、底上げ加速への期待を高めている。
■海老に次ぎトラウト養殖事業が本格寄与し首都圏の冷凍食品物流網も完成
同社が目下最終集計中の前2018年9月期業績は、食品販売事業の主力商材のエビ、イカ、カニなどの価格が高値で推移し、このコスト上昇分を販売価格に十分に転嫁できなかったとして、売り上げは1630億円(前々期比2.5%増)と期初予想を据え置いたものの、利益は下方修正され営業利益が50億円(同3.4%減)、経常利益が51億円(同6.1%減)、純利益が30億円(同10.7%減)となり、前期の過去最高から3期ぶりに減益転換した。ただ配当は、設立70周年の記念配当3円を上乗せして年間配23円(前期実績20円)に増配された。
続く今2019年9月期業績については、14日の決算発表時の業績ガイダンスを待たなければならないが、現在推進中の新中期経営計画「Growing Value 2020」で、最終年度の2020年9月期の目標数値として売り上げ1800億円、営業利益85億円、経常利益85億円、純利益53億円の達成を目指していることから減益を一期にとどめ増益転換する可能性が強い。同計画に盛り込まれた成長戦略の垂直統合ビジネスモデルの構築に向け、海老養殖事業に次いでノルウェーのトラウト養殖事業が、本格的に寄与し、さらに首都圏12カ所の冷凍食品物流網の完成、最先端のトラック予約システムの各物流センターへの導入などが効率経営をサポートするためだ。東洋経済会社四季報最新号では、今期純利益を40億円と増益転換、配当も記念配当は落とすものの、普通配当として23円を継続する可能性が観測されている。
■ダブル底から底上げを加速し8月急落時の窓を埋めPBR1倍を目指す
株価は、今年8月の前9月期業績の下方修正が響いて1000円大台から窓を開けて872円安値まで調整し、期末の配当権利取りで949円までリバウンドしたが、再三の世界同時株安に巻き込まれて再調整、859円安値と857円安値でダブル・ボトムを形成し底上げ途上にある。PBRは、1株純資産1308円に対して0.7倍となお割り負けており、8月急落時の窓を埋め1株純資産クリアを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)