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ラクーンホールディングスは戻り歩調、利用企業数増加基調で19年4月期2桁増益予想
- 2018/11/13 06:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーンホールディングス(ラクーンが18年11月1日付で持株会社に移行して商号変更)<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。利用企業数が増加基調で19年4月期2桁増益予想である。株価は調整一巡して戻り歩調だ。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。またスーパーデリバリーの越境ECサービス(海外販売)「SD export」も展開している。
18年4月期のセグメント別(連結調整前)売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)58%、Paid事業15%、保証事業26%、営業利益構成比はEC事業53%、Paid事業7%、保証事業40%だった。
出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。なお決算短信および有価証券報告書のセグメント情報においては、間接コスト(本社費用)を全てEC事業負担としているため、EC事業のセグメント利益は他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。
持株会社への移行に伴い、グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進する。また経営目標値としては、早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。
■利用企業数増加基調
19年4月期第1四半期末時点のスーパーデリバリー会員小売店数は18年4月期末比7254店舗増の10万4454店舗、出展企業数は41社増の1313社、商材掲載数は2万8642点増の74万275点となった。
Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。18年9月にはPaid導入企業数が3000社を突破した。
なお18年8月にはGMOペイメントゲートウェイ<3769>と業務提携した。
■19年4月期2桁増益予想
19年4月期の連結業績予想は、売上高が18年4月期比6.4%増の27億09百万円、営業利益が17.2%増の5億13百万円、経常利益が17.7%増の5億08百万円、純利益が16.6%増の3億30百万円としている。配当予想は未定としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比9.3%増の6億69百万円となり、営業利益が25.7%増の1億33百万円、経常利益が27.7%増の1億33百万円、純利益が30.3%増の90百万円だった。EC事業が3.2%増収、フィナンシャル事業が17.3%増収と好調に推移し、人件費の増加を吸収して大幅増益だった。EC事業におけるスーパーデリバリー流通額は5.2%増の26億72百万円となった。
通期ベースでも、事業基盤拡大に向けて積極的な広告投資やシステム投資を継続するが、EC事業、フィナンシャル事業とも伸長して増収・2桁増益予想である。各サービス利用者の稼働率向上、リピート率の向上、利用単価の向上を図る方針だ。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.7%、営業利益25.9%と順調である。好業績が期待される。
■株価は調整一巡して戻り歩調
なお18年8月に第三者割当による第5回・第6回新株予約権(行使価額固定型)および第7回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行している。当該発行による潜在株式数は合計348.3万株となる。資金調達の目的はM&Aおよび資本・業務提携としている。
株価は10月30日の直近安値523円から急反発している。調整一巡して戻り歩調だ。11月12日の終値は623円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円53銭で算出)は約34倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS119円67銭で算出)は約5.2倍、時価総額は約117億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)