- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- アスカネットは反発の動き、AI事業で樹脂製ASKA3Dの販売促進
アスカネットは反発の動き、AI事業で樹脂製ASKA3Dの販売促進
- 2018/11/15 08:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アスカネット<2438>(東マ)は、遺影写真加工や写真集制作を主力として、葬祭市場のIT化を推進する「葬Tech」を推進している。19年4月期増収増益予想である。注目のエアリアルイメージング(AI)事業は、バージョンアップした樹脂製ASKA3Dプレートを11月からサンプル供給する。展示会出展などで販売促進し、量産試作段階へ進む方針だ。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお12月11日に第2四半期累計決算発表を予定している。
■写真加工関連を主力としてAI事業も育成
葬儀社・写真館向け遺影写真合成・加工関連のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作関連のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力として、空中結像技術を用いたエアリアルイメージング(AI)事業など新規事業も育成している。18年4月期の売上構成比はMDS事業42.8%、PPS事業55.4%、AI事業1.8%だった。
17年2月人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造・販売するユニロボットに出資して資本業務提携、18年3月全身高速3Dスキャナーおよび3Dデータ処理システム開発・製造・販売のVRC社と資本業務提携した。
■葬祭市場のIT化「葬Tech」目指す
MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。景気変動の影響を受けにくい特性や、下期の構成比が高い季節特性もある。
MDS事業は、1992年に国内で初めてとなる遺影写真のデジタル加工・出力を開始し、現在は年間35万件以上の実績を誇っている。葬儀は年間約110万件施行されているため市場シェアは約30%(1位)となる。11月8日には遺影加工実績が500万件を突破したと発表している。
さらに葬祭市場のIT化を推進する「葬儀×TECH=葬Tech」を目指している。AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」とともに、葬祭市場における豊富な顧客基盤を活用して、スマホで葬儀にイノベーションを起こす新サービス「tsunagoo」でスマホ連動型「弔電注文システム」「記帳受付システム」の拡販を推進する。
PPS事業は、プロフェッショナル写真家向け(BtoB)の「アスカブック」と、一般消費者向け(BtoC)「マイブック」を主力としている。NTTドコモ<9437>向けOEM供給もサービス浸透で規模が拡大している。
■AI事業は樹脂製ASKA3Dプレートの販売促進
AI事業は18年1月、サービスブランドをASKA3D、プレート名をASKA3Dプレートに統一し、本格量産(ファブレス形態で製造、自社ブランドで販売)技術の確立に取り組んでいる。プレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど多方面の業界・業種から注目されている。
18年4月には低コスト供給が可能な樹脂製ASKA3Dプレートの安定した品質での試作に成功し、18年10月には新バージョンの樹脂製ASKA3Dプレートを発表した。従来に比べて高品質かつ高輝度の空中結像を可能にした。18年11月から新バージョンでサンプル供給を行い、量産試作段階へと進む。19年4月期には月産1万個規模の量産体制確立を目指している。供給拡大への期待が高まる。
なお新バージョンの樹脂製ASKA3Dプレートを、11月22日~24日開催の中国C-Touch & Display Shenzhen 2018、12月5日~7日開催のファインテックジャパンに出展する。販売を促進する。
■19年4月期増収増益予想
19年4月期の非連結業績予想は売上高が18年4月期比3.5%増の61億11百万円、営業利益が2.2%増の8億06百万円、経常利益が1.9%増の8億11百万円、純利益が1.8%増の5億67百万円としている。配当予想は18年4月期と同額の年間10円(期末一括)で、予想配当性向は29.7%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比3.8%増の14億41百万円だが、営業利益が1.1%減の1億39百万円、経常利益が0.6%減の1億42百万円、純利益が1.8%減の96百万円だった。
売上面では、MDS事業が5.5%増収、PPS事業が3.0%増収、AI事業が4.5%増収と堅調に推移したが、利益面では、人員や生産設備の増強による利益率の低下、運賃値上げによる発送配達費の増加などで微減益だった。ただし概ね計画水準としている。
通期のセグメント別売上高計画は、MDS事業が2.9%増の25億99百万円、PPS事業が2.2%増の33億43百万円、AI事業が43.0%増の1億69百万円としている。
MDS事業は、遺影写真加工収入の着実な積み上げ、額や葬儀演出ツールの伸長を見込むが、人件費率を高めに想定して利益横ばい計画である。PPS事業は、売上面ではOEMを中心に保守的な計画としている。また設備増強に伴って減価償却費が増加し、人件費や送料負担の増加も見込まれるため減益計画としている。
AI事業では開発費の増加などを見込むが、樹脂製ASKA3Dプレートのサンプル販売などの増収効果で赤字が縮小する見込みだ。なお樹脂製ASKA3Dプレートの販売は不確定要素が大きいとしているが、供給拡大を期待したい。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高23.6%、営業利益17.2%と低水準の形だが、下期の構成比が高い季節特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースで好業績を期待したい。
■株主優待制度は毎年4月末の株主対象
株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。
■株価は調整一巡して反発の動き
株価は調整一巡して反発の動きを強めている。10月30日の年初来安値1191円から反発して、11月14日には1546円まで上伸した。11月14日の終値は1540円、今期予想PER(会社予想EPS33円74銭で算出)は約46倍、今期予想配当利回り(会社予想年間10円で算出)は約0.6%、前期実績PBR(前期実績のBPS297円45銭で算出)は約5.2倍、時価総額は約269億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)