【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は着実に下値切り上げ、収益改善基調を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は45円~50円近辺でモミ合う展開だ。ただし着実に下値を切り上げている。収益改善基調を評価する動きだろう。

 首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして前期(14年3月期)は事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、前期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(5月9日公表)は、売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比大幅減収となり、営業利益は赤字だった。流動化事業の販売が0件(前年同期は5件で売上高26億98百万円と営業利益2億40百万円を計上)だったことなどが影響した。しかし売上総利益率は16.0%で前年同期の16.1%から0.1ポイントの低下にとどまっている。戸建販売棟数の増加などが寄与して収益改善は着実に進展しているようだ。

 第4四半期(1月~3月)には流動化事業の販売も予定しているようだ。通期ベースでは収益改善基調が期待される。

 株価の動きを見ると、1月の戻り高値55円から反落して、2月以降は概ね45円~50円近辺でモミ合う展開だ。ただし大きく下押す動きは見られず、14年10月の安値36円をボトムとして11月安値39円、12月安値41円、15年1月安値42円、2月安値45円と着実に下値を切り上げている。収益改善基調を評価する動きだろう。

 3月30日の終値46円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は11~12倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は2.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して下値を切り上げている。下値固めが完了して強基調に転換した形だ。収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。

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