一つ二つより、手間かけても百から選ぶが善し=犬丸正寛の相場格言

■一つ二つより、手間かけても百から選ぶが善し

 少ない数の中から1つ選ぶのに比べ、多くの中から1つを選ぶには、時間と根気と労力が求められます。そんな悠長なことはやっておれないと口実をつけて、人は簡単な道を選ぶものです。即断、即決を善しとする人もおられるでしょう。社会生活の中で、われわれは、常に判断、決断を求められる場面の連続です。2つから1つを選べば、当れば確率5割で効率はよいのですが、その分リスクも同時に高くなります。人の一生、子供たちの一生を決めるような場面では、エイヤーというわけにはいきません。

 大切なお金を投じる株式投資で、皆さんは、どうでしょうか。銘柄選びのキッカケを思い出してみてください。(1)テレビ、新聞などの社会、経済、政治報道で「これだ」とひらめいて買う、(2)決算発表の数字で買う、(3)過去に儲けたことのある銘柄や好のみ(ファン)銘柄を全体相場が大きく下げたときなどに買う、(4)著名な人が取り上げているから、といったところではないでしょうか。

 もちろん、どれも、間違いではありません。しかし、「高度経済成長時代」が終わった現在では通用し難くなっています。高度成長時代なら、仮に間違ってもガマンして塩漬け投資していれば、間違いを「成長」の2文字がカバーしてくれました。今は、いつまで待ってもダメな時代です。

 やはり、銘柄選びには時間と労力が必要です。好決算を発表したからといって株価が上がるとは限りません。既に、株価には織り込み済みというケースも目立っています。それを乗り越えるには、「株価の動き・推移」を知ることが大切です。

 機関投資家は超高性能のコンピューターを駆使して全上場銘柄の中から銘柄を選んでいるはずです。もちろん、個人投資家には、同じ真似はできません。だけど、筆者が昔、毎日、手書きで50銘柄のチャートを書いていた頃とは違います。今は、パソコンで日足、週足、月足を描くことは無理でも、短い時間で全ての銘柄の動きをチェックできます。多くの銘柄の動きを眺めていることで、「全体相場の強弱」、「業種などグループごとの銘柄の強弱」などがあるていど掴めます。仮に、その業種、その銘柄が上昇していた場合は好決算を発表しても出尽くしとなることも予想されます。とくに、上昇している機関、即ち、「日柄」がたいへん重要です。

 株価の動きを眺めることは、春夏秋冬の季節の風を感じ取ることにも似ています。個人投資家には機関投資家の運用者のように一定期間に利益を挙げなくてはいけないというノルマはありません。だからといって、個人が銘柄選びに手間と時間をかけなくてもよいということではありません。パソコンという文明の利器を使って、多くの銘柄の中から季節折々の風を感じ取るように自然の流の中で銘柄を無理なく選ぶことが大切となっています。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る