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アイビーシーは調整一巡して出直り期待、19年9月期大幅増収増益予想
- 2018/11/29 07:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アイビーシー<3920>(東1)はネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニーである。ブロックチェーン技術の活用やIoT分野への展開も加速している。18年9月期は増収増益で着地した。そして19年9月期(連結決算に移行)は大幅増収増益予想である。なお11月15日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって自己株式19万株を取得した。株価は10月の直近安値から徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。
■ネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニー
ネットワークシステム性能監視ツール(ソフトウェア)のリーディングカンパニーである。マルチベンダーの機器で構成される複雑なネットワークシステム全体の稼働・性能状況を、精度の高いデータを取得して分析するネットワークシステム性能監視ツールの開発・販売、および導入支援サービスなどを提供している。
情報通信ネットワークシステムが高度化・複雑化・ブラックボックス化し、システム環境変化による障害予兆の特定が困難になる問題が深刻化している。このためネットワークシステムの安定稼働や品質向上を実現するネットワークシステム性能監視ツールの重要性が増している。
ネットワークシステム性能監視に必要なマルチベンダー対応ソフトウェアを自社開発し、様々なデータおよび統計分析・解析ノウハウを蓄積してサービスをワンストップで提供していることが強みだ。ほぼ全ての主要メーカーに対応し、100社を超えるマルチベンダー対応で使い勝手の良い性能監視ソフトウェアは世界でも類がない。
主力製品はネットワーク性能監視ソフトウェアのSystem Answerシリーズである。累計販売実績は08年12月リリースのSystem Answerおよび11年7月リリースのSystem Answer G2の合計で、18年9月現在1400システム以上に達している。
今後は「情報監視」機能を備えた製品が必要とされ、17年7月新製品System Answer G3を発売し、18年8月にはSystem Answer G3のクラウド型サービスであるSystem Answer G3 on SAMSの提供を開始した。
■ライセンス販売で高収益のストック型ビジネスモデル
18年9月期の事業別売上高構成比は、ネットワークシステム性能監視ソフトウェアに係る自社開発製品のライセンス(ソフトウェア使用権)販売が70%、自社製品導入支援やネットワークシステム構築に係るコンサルティングなどのサービス提供が14%、その他物販(他社製情報通信機器等の販売)が16%だった。
ライセンス販売という高収益のストック型ビジネスモデルが特徴である。また顧客の検収時期の影響で、第2四半期と第4四半期の構成比が高い季節要因がある。大手優良企業を中心とした顧客構成で売上債権の貸倒実績が無く、安定的な財務体質を維持していることも特徴だ。
■18年9月期増収増益で着地、19年9月期大幅増収増益予想
18年9月期の非連結業績は、売上高が17年9月期比6.1%増の12億90百万円、営業利益が8.2%増の2億02百万円、経常利益が21.5%増の2億05百万円、純利益が23.3%増の1億41百万円だった。
新製品G3の発表で小型案件を中心に買い控えが発生して売上高はやや伸び悩んだが、G3新規大型案件も寄与して11期連続増収となり、販管費が想定を下回ったことも寄与して増益だった。売上高の内訳はライセンス販売が3.1%増の9億06百万円、サービス提供が1.4%減の1億81百万円、その他物販が32.3%増の2億03百万円だった。
18年9月期の連結業績予想(子会社iChainを連結化)は、売上高が18億37百万円、営業利益が2億77百万円、経常利益が2億76百万円、純利益が1億86百万円としている。
18年9月期非連結業績と比較で売上高は42.4%増収、営業利益は37.2%増益、経常利益は34.6%増益、純利益は31.1%増益となる。新製品G3の販売が本格化して大幅増収増益予想である。好業績を期待したい。
■中期成長戦略は「成長分野進出」「サービス領域拡大」「新製品発売」
中期成長戦略として成長分野進出、サービス領域拡大、新製品発売を掲げ、ブロックチェーン技術の活用やIoT分野への展開を加速し、性能監視のリーディングカンパニーからITサービスへの事業展開、そしてストック性を高めた持続的成長を目指している。
成長分野のブロックチェーン・IoT関連では、16年7月iBeed(18年4月iChainに商号変更)を子会社化し、iChainが16年8月コンセンサス・ベイスと業務提携、17年6月パクテラ・コンサルティング・ジャパンと業務提携、18年5月ナレッジソリューションズグループと連携して保険業務プラットフォーム実現に向けたブロックチェーン技術商用化検証を開始、また保険ポートフォリオ管理スマホアプリ「iChain保険ウォレット」配信開始した。
17年12月にはIoTセキュリティ基盤サービス「kusabi(楔)」の実証実験を開始した。2大中核技術(ブロックチェーン技術による電子証明システムと独自のデバイスプロビジョニングシステム)により、ソフトウェアだけでIoTセキュリティを実現する画期的なサービスである。3つの不要(専用チップが不要、認証局登録が不要、マルウェア対策が不要)を実現し、新たなIoT時代のセキュリティエコシステムを構築する。
そして18年2月IoTセキュリティ標準化に向けたコンソーシアム「kusabiコンソーシアム」を設立、18年3月「kusabi」のパートナーライセンス販売を開始、また「kusabi」のブロックチェーン技術を利用した電子証明システムとデバイスプロビジョニングシステムについて特許を取得した。
サービス領域拡大では、16年11月特化型クラウドインテグレーションサービス「SCI」を開始、17年4月インターネットサーバ構築・監視・運用・保守のネットフォースへ出資、17年8月「SCI」のサービスメニューの一つとして次世代MSPサービス「SAMS」を開始、17年12月マイクロソフトのAzureに特化したソリューションサービスを開始した。
■株価は調整一巡して出直り期待
株価は10月の直近安値1132円から徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。11月28日の終値は1414円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS32円70銭で算出)は約43倍、前期実績PBR(前期実績BPS297円20銭で算出)は約4.8倍、時価総額は約80億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)