ヨコレイは調整一巡して戻り歩調、19年9月期2桁増益予想

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 ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開している。冷蔵倉庫事業は積極投資で低温物流サービスの戦略的ネットワークを構築し、食品販売事業はノルウェーHI社と提携して養殖・加工・販売など業容拡大戦略を推進している。19年9月期は取引形態変更の影響で減収だが、国内食品販売の損益が大幅改善して2桁増益予想である。好業績を期待したい。株価は10月の年初来安値から切り返している。調整一巡して戻り歩調だ。

■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開

 冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開している。18年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業15%、食品販売事業85%、その他0%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業83%、食品販売事業16%、その他1%である。収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。

 冷蔵倉庫事業は積極投資で低温物流サービスの戦略的ネットワークを構築し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。18年2月には創立70周年記念事業の一環として東京羽田物流センター(物流総合効率化法認定)が竣工し、12ヶ所の物流センターで首都圏を取り囲む物流網が完成した。18年11月には名古屋市・名港物流センターが竣工した。また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得している。海外はASEAN地域へ積極展開し、子会社タイヨコレイの保管収容能力はタイ国内トップシェアである。

 食品販売事業は、子会社アライアンスシーフーズ(ASF社)が15年8月ノルウェーの大手水産加工会社HI社と提携し、ノルウェーサーモン・トラウトの養殖・加工・販売拡大戦略を推進している。16年3月水産加工のSE社を子会社化、16年8月トラウト養殖事業のFA社(17年7月HA社に社名変更)を子会社化、16年8月サーモンを活用したサプリメント製造販売のHBC社の筆頭株主となった。また17年7月にはマレーシアの海老養殖事業AGROBEST社と業務提携して海老養殖事業に参入した。17年12月にはHA社が同国トラウト養殖事業者初となる養殖場ASC認証を取得した。

■収益性強化を推進

 第6次3ヶ年中期経営計画「Growing Value 2020」では、目標値(18年11月修正)を20年9月期売上高1600億円、営業利益70億円、経常利益70億円、純利益45億円、ROE5.7%、EBITDA120億円、自己資本比率40%以上としている。セグメント別には、冷蔵倉庫事業の売上高が281億円で営業利益が64億円、食品販売事業の売上高が1317億円で営業利益が32億円としている。

 為替変動対策の一環としてノルウェーから欧米への輸出事業の取引形態を変更する影響で売上高目標を引き下げ、国内水産品トレーディング事業の厳しい事業環境を考慮して利益目標を保守的な数値に引き下げたが、基本戦略に変更はなく収益性の一段の強化を推進する。

■18年9月期減益だが、19年9月期は2桁増益予想

 18年9月期の連結業績は、売上高が17年9月期比8.0%増の1717億72百万円、営業利益が6.8%減の48億25百万円、経常利益が1.1%減の53億73百万円、純利益が0.5%減の33億43百万円だった。配当は3円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)で、配当性向は38.6%となる。

 冷蔵倉庫事業は4.0%増収で6.6%営業増益と堅調だった。17年9月期に2つのセンターを閉鎖したことによる減収要因と、新設センター立ち上げ時の一時費用や減価償却費の増加、動力費の増加という減益要因があったが、貨物取り扱いが堅調に推移し、新設センターの稼働率向上やタイヨコレイの業績回復などが寄与した。

 食品販売事業は8.8%増収だが36.9%減益だった。ノルウェーのトラウト養殖事業は生産量増加で大幅伸長したが、国内の水産品でエビ、イカ、カニの主力商材の高騰を販売価格に転嫁できず、畜産品の需給悪化も影響して損益が悪化した。

 19年9月期の連結業績予想は、売上高が18年9月期比12.7%減の1500億円、営業利益が20.2%増の58億円、経常利益が11.7%増の60億円、純利益が10.7%増の37億円としている。配当は18年9月期と同額の年間23円(第2四半期末11円50銭、期末11円50銭)で、予想配当性向は36.4%となる。

 為替変動対策の一環としてノルウェーから欧米への輸出事業の取引形態を変更する影響で2桁減収だが、冷蔵倉庫事業が堅調に推移し、食品販売事業で国内の損益が大幅改善して2桁増益予想である。なお減価償却費は12.2%増の56億70百万円の見込みである。

 セグメント別には、冷蔵倉庫事業の売上高が4.2%増の274億40百万円で営業利益が2.2%増の62億円、食品販売事業の売上高が15.7%減の1225億円で営業利益が2.2倍の25億95百万円、その他の売上高が4.9%増の60百万円で営業利益が0.3%増の55百万円としている。

 冷蔵倉庫事業は東京羽田物流センターや名港物流センターが通期寄与する。食品販売事業はノルウェーのトラウト養殖事業が順調に推移し、国内の水産品・畜産品は不採算在庫の処分が前期末に完了したため、今期の損益が大幅に改善する見込みだ。好業績を期待したい。

■株主優待は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて水産品などを贈呈している。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価は10月25日の年初来安値857円から切り返し、11月26日には978円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。11月28日の終値は963円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS63円13銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1321円87銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約571億円である。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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