イワキは調整一巡して反発期待、18年11月期営業増益・増配予想

 イワキ<8095>(東1)は、医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、メーカー機能も強化している。18年11月期は薬価改定影響を吸収して営業増益・増配予想である。19年11月期も収益拡大を期待したい。株価は10月の年初来高値から反落したが、調整一巡して反発を期待したい。なお1月11日に18年11月期決算発表を予定している。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能も強化している。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカルの企業集団である。

 事業区分は医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)としている。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。18年3月には日立化成<4217>からプリント配線板用薬品事業譲受契約を締結した。

 中期経営計画(ローリング方式、18年11月期~20年11月期)では目標数値に、20年11月期売上高650億円、営業利益21億円、ROIC7.0%以上を掲げている。さらにグループ中長期ビジョンとして、売上高1000億円、ROIC10.0%以上を掲げている。

■18年11月期営業増益・増配予想、19年11月期も収益拡大期待

 18年11月期の連結業績予想(5月25日に利益を増額修正)は、売上高が17年11月期比2.8%増の590億円、営業利益が1.8%増の16億円、経常利益が3.3%減の17億20百万円、純利益が5.0%減の11億80百万円としている。薬価改定の影響を受けるが、高薬価品の製造量増加、原料販売や電子・機能性材料(有機EL素材)販売の拡大が牽引して増収・営業増益予想である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.6%増の441億52百万円、営業利益が19.3%増の14億14百万円、経常利益が14.1%増の15億09百万円、純利益が20.9%増の10億23百万円だった。

 医薬・FC事業は1.2%増収で1.5%営業増益だった。医薬品原料分野の血管収縮剤原料や医薬品分野の外皮用剤薬などが好調に推移し、薬価改定の影響を吸収した。HBC事業は6.1%増収で営業黒字化した。一般医薬品を中心とする卸売分野が好調に推移し、通販化粧品分野における広告宣伝費・販売促進費の効率的運用も寄与した。化学品事業は10.7%増収となり、営業損益が大幅に改善した。プリント配線板向け表面処理薬品などが好調に推移した。食品事業は新規受注などで7.2%増収だが、営業赤字が拡大した。

 通期ベースでは、医薬・FC事業で新分析棟・倉庫を建設し、抗がん剤領域での需要拡大が予想される高活性原薬分野に新規参入する。化学品事業ではクリーンルームを増設し、需要増加に対応して製造能力を増強するとともに、半導体デバイス製造用途向け新製品の開発も推進する。営業微増益予想だが、通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高74.8%、営業利益88.4%と順調である。利益予想に上振れ余地があり、収益拡大を期待したい。

 配当方針は従来の固定配当型から、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で配当性向30%目途」に変更している。配当方針の変更に伴い、18年11月期の配当予想(7月12日に増額修正)は4円50銭増額して年間10円50銭(第2四半期末5円、期末5円50銭)としている。17年11月期との比較で3円増配となる。予想配当性向は28.7%である。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価は10月の年初来高値644円から反落して水準を切り下げたが、500円近辺で下げ渋る動きだ。調整一巡して反発を期待したい。12月13日の終値は501円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS36円56銭で算出)は約14倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円50銭で算出)は約2.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS556円36銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約173億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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