クレスコは続落も連続最高業績、普通配当の連続増配を見直し再急騰期待を高めて逆張りの買い物が交錯
- 2018/12/20 08:57
- 株式投資ニュース
クレスコ<4674>(東1)は、前日19日に45円安の3095円と4営業日続落して引け、今年10月31日以来の3100円台割れとなった。ただ、取引時間中には3170円と戻りを試す動きもあり、日経平均株価が、今年3月以来9カ月ぶりに心理的なフシ目の2万1000円台を下回ったことから、同社株も目先の利益を確保する売り物に押された。下値には、今2019年3月期業績が、連続して過去最高更新と予想され、配当も、前期の記念配当は落とすものの、普通配当は連続増配を予定していることを手掛かりとする逆張りの買い物が交錯した。ヒストリカル的にも、今年11月8日に発表した今2019年3月期第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)累計決算を先取りして窓を開けて1300円幅の棒上げを演じており、この再現期待も底流している。実際に2Q累計の経常利益は、先取り通りに期初予想を上ぶれ増益転換して着地した。
■カーエレ向けなどの組込み型ソフトが好調に推移し働き方改革関連のRPAも上乗せ
同社の今2019年3月期通期業績は、売り上げ355億円(前期比6.5%増)、営業利益32億8000万円(同6.1%増)、経常利益35億8000万円(同2.5%増)、純利益24億1600万円(同9.7%増)と連続の過去最高更新が予想されている。産業界でデジタル技術を活用してビジネスモデルを革新する「デジタル革新」が急速に進み、IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、RPA(ロボティクス プロセス オートメーション、運用自動化)などの先端技術への投資意欲が拡大しており、同社のITシステム基盤構築や各種コンサルティング事業、組込み型ソフトウェア開発事業などが好調に推移していることが寄与する。なかでも組込みソフトウェアでは、カーエレクトロニクス向けや、テレビ、カメラ、AIスピーカーなどの情報家電分野が売り上げ、セグメント利益とも大きく伸ばしている。
また、来年4月に施行される働き方改革法案に関しては、RPA投資の拡大が予想されるが、同社は今年3月に世界で最も豊富な導入実績を誇るRPAプラットフォーム「UiPath」との認定リセラー・パートナー契約を締結し、次いで9月には人事・給与・ワークフロー関連のパッケージソフトウェアを開発するアルス(東京都目黒区)を子会社化する一方、企業向けの無料・有料のRPA導入セミナーを各種開催しており、業績押し上げ材料として注目されている。
なお配当は、前期に創立30周年の記念配当10円を上乗せして年間72円(前々期実績55円)とし、今期は、記念配当を落として普通配当64円を予定しているが、普通配当では2円の増配で9期連続の増配となる。
■世界同時株安で下ぶれるたびに急反騰相場を繰り返し再々現期待が底流
株価は、世界同時株安に巻き込まれて下ぶれるたびに大きくリバウンド、今年8月の年初来安値2530円から3600円まで1100円高し、10月30日安値2783円からは窓を開けて4045円の戻り高値まで1300円高した。足元では、この急騰時に開けた窓埋めのほぼ最終局面にある。PERは14倍台とIT関連株としては相対的に割安で、25日移動平均線からも12%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、急騰特性を発揮して10月の戻り高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)