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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】物語コーポレーションは1月高値に接近、既存店の好調を評価して13年9月高値も視野
- 2015/4/2 07:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
焼肉店やラーメン店など飲食チェーンを展開する物語コーポレーション<3097>(東1)の株価は、直近安値圏3500円近辺から切り返して1月の年初来高値4120円に接近している。既存店売上の好調や15年6月期の増収増益見通しを評価して、13年9月の上場来高値4580円も視野に入る。
中部圏と関東圏を中心に飲食チェーンを直営とFCで全国展開している。郊外型立地を基本として、業態別には「焼肉きんぐ」などの焼肉部門、「丸源ラーメン」などのラーメン部門、「お好み焼き本舗」のお好み焼部門、寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」などの専門店部門を展開している。焼肉テーブルバイキング市場のトップブランドが特徴である。また12年10月には中国・上海に海外初出店となる「鍋源(GUO YUAN)」をオープンしている。
15年2月末時点の店舗数は全業態合計317店舗(直営164店舗、FC153店舗)である。業態別には焼肉部門が140店舗(直営90店舗、FC50店舗)、ラーメン部門が112店舗(直営33店舗、FC79店舗)、お好み焼部門が45店舗(直営21店舗、FC24店舗)、専門店部門が15店舗(直営15店舗)、その他部門が5店舗(中国直営5店舗)である。
中期経営計画では、物語的大家族主義などピープルビジネスとしての「レインボー企業」を目指し、成長基盤確立に向けて優秀な人財の育成・確保、新業態開発、FC支援体制充実などに取り組んでいる。経営目標値には17年6月期の売上高470億31百万円、経常利益38億01百万円、店舗数442店舗(直営244店舗、FC198店舗)を掲げている。
重点戦略としては、焼肉部門では「焼肉きんぐ」ブランドの浸透、美味しさとプレミアム感による顧客満足度向上、ラーメン部門ではサイドメニューの強化、「丸源ラーメン」ブランド化に向けた新たなフォーマットの構築、お好み焼部門では熟成リブロースステーキ「塊」による集客力向上、「お好み焼き屋」コンセプトの確立、専門店部門では寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」多店舗フォーマット化の推進、中国で展開する「鍋源」の新フォーマットでの出店などに取り組んでいる。
今期(15年6月期)の連結業績見通し(連結決算移行に伴って11月4日に公表)は、売上高が326億75百万円、営業利益が23億50百万円、経常利益が25億円、純利益が13億86百万円としている。前期の非連結実績との比較で見ると21.7%増収、16.8%営業増益、19.0%経常増益、16.5%最終増益となる。新規出店は42店舗(直営26店舗、FC16店舗)で、既存店売上は同101.1%の計画としている。
配当予想(8月11日公表)については前期比15円増配の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。
第2四半期累計(7月~12月)は売上高が158億78百万円、営業利益が7億55百万円、経常利益が9億98百万円、純利益が4億55百万円、前年同期の非連結との比較で26.3%増収、24.7%営業減益、3.9%経常減益、26.8%最終減益だった。
既存店売上高が同104.3%と好調に推移し、新規出店17店舗(海外2店舗含む)も寄与して大幅増収だったが、新規出店費用の増加、リニューアルや業態転換に伴う改装費用の増加、食肉仕入価格の上昇、人件費や本社経費の増加、多店舗展開に向けて費用が先行している中国の子会社の連結開始、さらに固定資産除却損計上などが影響して減益だった。退店は3店舗だった。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)80億10百万円、第2四半期(10月~12月)78億68百万円で、営業利益は第1四半期5億36百万円、第2四半期2億19百万円である。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.6%、営業利益が32.1%、経常利益が39.9%、純利益が32.8%である。新規店舗の開業遅れなども影響して利益進捗率がやや低水準だが、既存店が想定以上に好調であり、リニューアル費用や固定資産除却損も一巡して下期の挽回が期待される。
月次売上動向(国内直営店+FC店、前年比速報値)を見ると、15年2月の売上は全業態全店が122.2%、全業態既存店が107.5%だった。前年の大雪の影響一巡も寄与して既存店は今期最も高い伸び率だった。業態別既存店売上は焼肉部門が106.5%、ラーメン部門が106.6%、お好み焼部門が113.1%、専門店部門が119.8%だった。
また14年7月~15年2月累計では全業態全店が119.8%、全業態既存店が104.3%となった。新規出店、リニューアル・業態転換、メニュー改定、新商品投入などの効果で好調に推移している。
なお株主優待制度については年2回、毎年6月末および12月末時点で1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。100株以上所有株主に対してお食事ご優待券2500円相当またはお米2.5kg、300株以上所有株主に対してお食事ご優待券5000円相当またはお米5.0kg、600株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万円相当またはお米10.0kg、900株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万5000円相当またはお米15.0kgを贈呈する。
株価の動きを見ると、第2四半期累計の減益を嫌気した直近安値圏3500円近辺から切り返し、3月30日には4065円まで上伸して1月の年初来高値4120円に接近している。目先的な売りが一巡し、既存店売上の好調を評価する動きだろう。
4月1日の終値3990円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS231円63銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は1.3%近辺、実績PBR(第2四半期累計実績の連結BPS1643円02銭で算出)は2.4倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。15年6月期の増収増益見通しを評価して上値を試す展開だろう。1月の年初来高値4120円は射程圏であり、13年9月の上場来高値4580円も視野に入るだろう。