Eストアーは売られ過ぎ感、19年3月期実質減益予想だが上振れ余地

 Eストアー<4304>(JQ)はEC総合支援ソリューションサービスを展開している。19年3月期(第2四半期から連結決算に移行)は先行投資負担などで実質減益予想だが、上振れ余地がありそうだ。株価は地合い悪の影響で急落し、年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■EC総合支援ソリューションサービスを展開

 EC総合支援ソリューションサービスを展開している。ヤフーショッピングや楽天市場といったECモール店ではなく、企業のEC本店向けを中心にシステム構築やマーケティングサービスを提供していることが特徴であり、ワンストップサービスが強みだ。

 システム構築は、販売系でショップサーブ(受注・決済・顧客管理などを一体化した通販システム)、販促系でEストアー・コンペア(デザイン効果を比較して売上増加や広告費削減に繋げるテストツール)、およびEストアー・クエリー(リピート受注を高めるためのメールCRM)を提供している。マーケティングサービスは、コンサルティングなどの調査・分析、店舗作りなどの制作代行、広告宣伝などの集客代行、受注管理などの運営代行を提供している。

 18年8月には、クロストラスト(株)から事業を譲り受けて(株)クロストラストを設立し、電子認証サービスを開始した。

■マーケティングサービスと販促系システムを拡大

 成長戦略として、従来の主力だった販売系システム構築支援から、EC総合支援ソリューションへの転換を推進している。販売系システムはECでのポテンシャルが見込める優良顧客に絞り込む一方で、顧客EC店舗の販促を支援するマーケティングサービスを強化し、さらに新たな収益ブロックとして販促系システムのEストアー・コンペアおよびEストアー・クエリーを19年3月期から本格展開している。

 18年3月期売上構成比は、ストック売上(ECシステム月額利用料)が37%、フロウ売上(店舗売上高に連動する受注・決済手数料)が40%、マーケティングサービス(店舗販促支援アウトソーシングに係る役務提供料)が22%、メディア・その他が1%だった。

 販売系システムのショップサーブについては、ECでのポテンシャルが見込める優良顧客に絞り込んでいるため顧客店舗数が減少し、ストック売上の構成比も低下傾向である。ただし受注単価は上昇傾向である。18年3月期末のショップサーブ顧客数は1万502件で17年3月期末比1088件減少したが、総合支援ソリューションの効果で1顧客店舗当たり業績は760万円で10%成長した

■19年3月期実質減益予想だが上振れ余地

 19年3月期の連結業績予想(18年8月クロストラスト設立に伴い第2四半期から連結決算に移行)は、売上高が55億46百万円、営業利益が5億08百万円、経常利益が5億60百万円、純利益が3億93百万円としている。18年3月期の非連結業績との比較で、売上高は10.0%増収、営業利益は8.3%減益、経常利益は3.8%減益、純利益は4.6%減益となる。

 販売系システムは数より単価を優先し、販促系システムの販売を本格化する。マーケティングサービスは拡販および効率化による利益率改善を推進する。ただし次の収益軸への道筋づくりなど積極的な先行投資負担で減益予想としている。

 第2四半期累計は売上高が23億89百万円、営業利益が2億78百万円、経常利益が3億65百万円、純利益が2億63百万円だった。前年同期の非連結業績との比較で、売上高は2.5%減収、営業利益は20.9%増益、経常利益は59.8%増益、純利益は67.5%増益だった。

 販売系システム構築支援からEC総合支援ソリューションへの転換を推進しているため減収だが、マーケティングサービスの強化などで大幅増益だった。経常利益は営業外で計上した投資有価証券売却益50百万円、関連会社(ECホールディングス)の持分法投資利益39百万円も寄与した。売上高の内訳は、ストックが7%減の8億77百万円、フロウが2%減の9億55百万円、マーケティングが4%増の5億35百万円、販促システムが5百万円、電子認証・その他が17百万円だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高43.1%、営業利益54.7%である。利益進捗率が順調だ。通期実質減益予想だが上振れ余地がありそうだ。

■株価は売られ過ぎ感

 なお18年8月31日付で自己株式516万5902株(消却前発行済株式総数の50.02%)を消却した。消却後の発行済株式総数は516万1298株である。また11月8日に第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行を発表している。

 株価は12月25日に620円まで下押した。地合い悪の影響で急落し、年初来安値を更新する展開だが、25日移動平均線に対するマイナス乖離率が約24%に拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。12月25日の終値は620円、今期予想連結PER(予想連結EPSは純利益予想と自己株式消却後の発行済株式総数から算出した76円14銭を利用)は約8倍、時価総額は約32億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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