イワキ<8095>(東1)
コアバリュー「SH(安全衛生)+E(環境)+EG(倫理・尊厳の尊重)」を定め、新たに「グループビジョン推進室」を新設
イワキ<8095>(東1)は、医薬品原料・医薬品の製造から販売までを行うほか、創薬支援サービスなどのバイオ関連事業や、医療機器の販売も行っている。業績は2017年度から拡大傾向を強めており、医薬品の一部品目の単価引き上げや後発医薬品の拡大、化粧品原料の拡大などにより今期も純増の見込みだ。2025年に創業111周年を迎える老舗であり、111周年に向けて一層の飛躍を目指している。
医薬品事業は副腎皮質ホルモン剤など主力の男性型脱毛治療薬も注目集める
主な事業セグメントは、「医薬・FC(ファインケミカル)事業」「HBC(ヘルス&ビューティケア)事業」「食品事業」「化学品事業」。また、グループ会社には、医薬品およびファインケミカル製品の開発・製造を行う岩城製薬、日本に初めて「プラスチックにメッキする技術」を紹介した化学品事業のメルテックス、スキンケア化粧品や健康食品の企画や通信販売などを行うアプロス、北海道全地域で動物用医薬品の予防薬・治療薬やビタミン剤、ワクチン製剤などを取り扱うホクヤク、などがある。
医薬品事業では、副腎皮質ホルモン皮膚外用剤、外用抗真菌剤の皮膚外用剤をはじめ、殺菌消毒剤も多くの種類をラインアップしている。2018年度は、第1四半期以降、主力の外皮用剤を中心に、男性型脱毛治療薬などの新製品を加え、調剤薬局、DPC病院(包括評価支払い制度に基づいた新しい医療費制度の病院)などに向けて積極的な情報提供活動に取り組んでいる。また、ビタミンC(アスコルビン酸)原末の扱いも多く、原末・錠剤等をラインナップする。
中長期ビジョンのコアバリューとして「SH+E+EG」を定めCSRも包含
こうした事業展開の上で、同社グループは、中長期ビジョンのコアバリューとして「SH+E+EG」<Safety&Health(安全衛生)+Environment(環境)+Ethics&Goodwill(倫理・尊厳の尊重)>を定めている。前期から「グループビジョン推進室」を新設し、CSRに関する取り組みを包含する形でより一層、活動の充実を図っている。
こうしたコアバリューのもと、グループビジョン推進室では、障がい者雇用、子育て世代・介護世代にあたる社員の支援、働き方改革の一環としてのテレワークなどを推進中だ。さらに、企画中のものとしては、「3R」(Reduce、Reuse、Recycle:資源消費の減量・再生・再利用)活動などがあるという。
こうした取り組みの大半は経営陣・社員の日常の努力と意識向上、日々の地味な活動によって創られ、積み上げられるものだが、その中で、社外の人々や社会からも見える活動としては、2012年から開始している「中央区緑のアダプト活動」への参加などがある。
「中央区緑のアダプト活動」は、本社のある東京都・中央区が保有する歩道や公園などの花壇を、区に代わって管理・運営し、年4回の花の植替え、日々の水撒きや雑草取りなどを実施するもので、「ごみゼロの日」(5月30日)の「中央区まちかどクリーンデー」では積極的な活動を行っている【写真】。
直近の活動としては、福岡支店の皆さんが2018年11月17日(土)、ボランティアイベントに参加し、「勤マルの日」に「花と緑で笑顔の公園をつくろう!」ということで、公園の花壇に花を植えるなどの活動を行った。
また、メルテックスでは首都圏のターミナル駅周辺での清掃活動を行っており、赤十字血液センターの協力を得た献血活動は、本社だけでなく大阪支社などの拠点でも行っている。
投資家からみると利益還元に積極的な企業でもあり配当方針を大幅拡充
また、同社は、投資家からみると、利益還元に積極的な「魅力ある企業」でもあり、7月には、配当方針の変更(増配)を発表した。株主への利益還元の充実を図ることが目的で、従来の固定配当型から、下限を持った業績連動型に変更した。純資産配当率(DOE)を1.5%以上とし、連結配当性向は30%を目処とした。
これにより、18年5月第2四半期末の中間配当は前期実績比2円増の5円とし、11月期末配当は前年同期比1円増額になる5円50銭の見込み(会社側の予定)とした。年間では前期比3円増額の10円50銭となる。
2018年11月期の連結業績は、19年1月11日(金)に発表する予定で、第3四半期決算を発表した10月段階での見通しは、売上高が590億円(前期比2.8%の増加)、営業利益が16億円(同1.8%の増加)、純利益は11.8億円(同5.0%減)、1株利益は36円56銭の見込み。中長期ビジョン「Vision i-111」では、創業111周年になる2025年11月期の連結売上高を1000億円以上と掲げている。