インフォコムは上値試す、19年3月期2桁営業増益・増配予想

 インフォコム<4348>(東1)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力として、IoT領域などへの事業拡大も推進している。19年3月期は電子コミック配信サービスの好調が牽引して2桁営業増益・増配予想である。株価は12月4日の上場来高値から反落し、さらに地合い悪の影響を受ける場面があったが、調整一巡して上値を試す展開が期待される。なお1月31日に第3四半期決算発表を予定している。

■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開

 帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安全確認サービスなどのサービスビジネス事業)、および一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、eコマース、女性向けや音楽系デジタルコンテンツの提供)を展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比はITサービス54%、ネットビジネス46%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービス42%、ネットビジネス58%である。収益面では、ITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

■新中期経営計画で成長加速

 17年2月策定の新中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。

 成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。

 経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。

 18年3月には電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式を取得(議決権割合9.83%)した。18年6月にはAI与信エンジン搭載の通信販売事業者向け後払い決済与信サービス「at score」を発表した。18年7月にはヘルスケア分野において、SOMPOホールディングス<8630>と「シニアポータル構想」の共同推進で合意した。サービス第一弾としてSOMPOケアの介護施設利用者向け「買い物代行サービス」の実証実験を開始する。

■19年3月期2桁営業増益・増配予想

 19年3月期の連結業績予想(10月29日に上方修正)は、売上高が18年3月期比11.4%増の510億円で、営業利益が14.9%増の67億円、経常利益が12.0%増の67億円、純利益が0.9%減の46億円としている。純利益は固定資産売却益の反動で微減益だが、電子コミック配信サービスが好調に推移して2桁営業・経常増益予想である。配当予想は2円増配の年間40円(第2四半期末10円、期末30円)で、予想配当性向は23.8%となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.1%増の231億28百万円、営業利益が9.8%増の25億96百万円、経常利益が0.7%減の26億16百万円、純利益が27.1%減の18億77百万円だった。経常利益は前年同期の営業外に計上したパートナーシップ利益の反動、純利益は前年同期の特別利益に計上した固定資産売却益の反動で減益だが、電子コミック配信サービスの好調が牽引し、ほぼ計画水準の増収・営業増益だった。

 ITサービスは2.4%減収、36.0%営業減益だった。ヘルスケア分野は順調だったが、企業向けITサービスが減収となり、AIやヘルスケア分野の先行投資負担も影響した。ネットビジネスは20.5%増収、26.5%営業増益だった。電子コミック配信サービス(23.2%増の124億円)が牽引した。

 通期ベースでは、ITサービスが製薬企業向け大型SI案件の期ズレの影響で伸び悩むが、電子コミック配信サービスの好調が牽引する。セグメント別計画は、ITサービスの売上高が2.1%増の250億円で営業利益が1.7%増の25億円、ネットビジネスの売上高が22.2%増の260億円で営業利益が25.0%増の42億円としている。電子コミック配信サービスの売上高計画は25.5%増の254億円としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高45.3%、営業利益38.7%と低水準の形だが、ITサービスは年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性があるためネガティブ要因とはならない。また電子コミック配信サービス「めちゃコミック」の月間売上高は過去最高更新基調である。通期ベースで好業績が期待される。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。なお18年度から優待内容を一部変更(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡して上値試す

 株価は12月4日の上場来高値5070円から反落し、さらに地合い悪の影響を受ける場面があったが、12月25日の直近安値3495円から切り返している。調整一巡して上値を試す展開が期待される。12月28日の終値は4000円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS168円20銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想年間40円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1032円15銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約1152億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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