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ベステラは調整一巡して戻り歩調、19年1月期増収増益予想で20年1月期も収益拡大期待
- 2019/1/8 07:58
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ベステラ<1433>(東1)は鋼構造プラント設備解体工事を展開し、次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発も推進している。19年1月期(連結決算に移行)増収増益予想である。20年1月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪の影響で戻り高値圏から反落したが、調整一巡して戻り歩調だ。出直りを期待したい。
■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業
製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。
製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。
大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有(特許取得14件、特許申請中5件)を強みとしている。
主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。特許関連では、04年球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」の特許を取得、07年火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得、10年遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発した。
18年7月には日本国内の原子力発電設備解体事業に関して日立プラントコンストラクションと業務提携、18年9月には第一カッター興業<1716>とプラント設備解体事業において業務提携した。
関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。18年3月若手技術者育成教育支援サービスや人材サービスを展開するヒロ・エンジニアリングを子会社化した。
収益計上基準は工事進行基準と工事完成基準がある。収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動する。また完成工事高は顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期の割合が高くなる特性がある。
■プラント解体需要は中期的に増加予想
企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。
19年1月期~21年1月期の「中期経営計画2019」(ローリング方式で毎年改定)では、数値目標に20年1月期売上高64億円(電力21億円、製鉄17億円、石油・石油化学18億円、ガス・他8億円)、営業利益5億24百万円、経常利益5億20百万円、純利益3億70百万円、売上高営業利益率8.2%、EPS44円、R12.0%を掲げている。配当性向の目安は40%とする。
重点戦略として、収益構造改革(受注案件数・規模の拡大、工法の充実、元請工事の拡大、ストック型の安定的受注の拡大など)、人事構造改革、3D事業の価値の追求(パーフェクト3D拡販など3D解体分野の拡充、3D技術とロボティクスの融合など)、M&A戦略などを推進する。
ロボット工法については、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発して工事実績を積み上げ、新アタッチメント開発による用途拡大を進めている。また東京工業大学との産学連携による群移動体型ロボット「群龍」や、京都大学および山口大学との共同研究による監視ロボットを開発している。さらに次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発を推進する。
■19年1月期増収増益予想、20年1月期も収益拡大期待
19年1月期(連結決算に移行)連結業績予想(固定資産譲渡益計上で9月27日に純利益を増額修正)は、売上高が51億円、営業利益が4億22百万円、経常利益が4億06百万円、純利益が5億40百万円としている。
18年1月期非連結業績との比較で売上高は13.4%増収、営業利益は9.3%増益、経常利益は8.8%増益、純利益は2.1倍増益となる。配当予想は18年1月期と同額の年間15円(第2四半期末5円、期末10円)としている。予想配当性向は23.1%となる。
第3四半期累計は、売上高が32億52百万円、営業利益が2億20万円、経常利益が2億20百万円、純利益が4億19百万円だった。前年同期の非連結業績との比較で売上高が9.0%増収、営業利益が0.8%減益だった。本社移転費用の発生などで営業微減益だったが、工事が順調に進捗して増収だった。純利益は固定資産(本社ビル)譲渡益が寄与した。受注高は27.6%減の24億12百万円で、受注残高は14億99百万円となった。
第3四半期累計の進捗率は売上高63.8%、営業利益52.1%だが、完成工事高は第4四半期の構成比が高い特性を考慮すれば、概ね順調と言えるだろう。通期ベースで好業績を期待したい。そして20年1月期も収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年1月末の株主対象
株主優待制度は、毎年1月31日現在100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円分、300株以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。
■株価は調整一巡して戻り歩調
株価は地合い悪の影響で12月17日の戻り高値1697円から反落したが、18年8月安値1199円を割り込むことなく、12月25日の直近安値1215円から反発している。1月7日には1539円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。出直りを期待したい。
1月7日の終値は1518円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS65円24銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は約1.0%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS279円12銭で算出)は約5.4倍、時価総額は約127億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)