【新規上場(IPO)銘柄】自律制御システム研究所は12月21日に上場、点検・物流・防災でドローン利活用が本格化へ

株式市場 IPO 鐘

 自律制御システム研究所<6232>(東マ)は、2018年12月21日に東京証券取引所マザーズに上場した。同社は、自律制御を核とする自社保有技術及びインダストリアル向けドローン・プラットフォーム「ACSL-PF1」を軸に、各分野のクライアントに対し、各種用途向けのインダストリアル向けドローン・ソリューションを展開している。


 ドローン分野において新規案件の獲得による顧客基盤の積み上げを推し進めるとともに、継続顧客における量産機体の販売フェーズへの移行を進めている。また、同社制御システム技術のみの販売展開を開始。開発においては、画像処理(Vision)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化、飛行性能及び安全品質を支える基盤技術向上、操作に関連するユーザーインターフェース強化、投資を継続している。

 今2019年3月期第2四半期業績実績は、売上高2億4600万円、営業赤字2億3200万円の赤字、経常損益8600万円の赤字、最終損益8700万円の赤字を見込む。

 今19年3月期業績予想は、売上高8億0300万円(前期比2.2倍)、営業赤字3億0200万円の赤字(同5億4200万円の赤字)、経常損益1億5000万円の赤字(同4億5400万円の赤字)、最終損益1億5000万円の赤字(同4億6000万円の赤字)を見込む。上場で調達した資金は、研究開発費を含めた運転資金に充てる計画で、年間配当予想は、無配を予定している。

 株価は、上場初日の昨年12月21日に公開価格3400円を16.8%下回る2830円で初値をつけ、同25日安値2133円と下落した後、下値を切り上げ、本年1月8日高値3500円と買われ公開価格を上回っている。制御技術を中心に周辺技術・システム開発能力を一気通貫で保有することで、ドローンを活用したインダストリアル向け無人化・IoTシステムが構築可能し、多くの国家プロジェクトや検討会に参画し、急成長中のドローン産業において規制作り・新技術開発の両面でリードしていることが注目される。2018年には無人地帯での目視外飛行を可能とする航空法の審査要領が開示され、インフラ点検、物流・郵便、防災・災害対応等でのドローン利活用が本格化する方向となっており、収益機会が拡がると期待される。公開価格を上回り需給は好転しており、ここから上昇に弾みがつくか注目したい。(株式評論家・信濃川)

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