人も相場も体力の有無が勝負=犬丸正寛の相場格言

■人も相場も体力の有無が勝負

 体力があれば、風邪を引いてもすぐ治ります。深酒をしても次の日まで持ち越すことはありません。しかし、歳をとって体力が衰えてくると、免疫力が低下して、感染症などに罹りやすくなります。生物はつまるところウイルスとの戦いのようなところがあります。赤ちゃんの肌は張りがあって、水滴を弾き返すように少々のウイルスは追い払っているはずです。内臓も皮膚の一種ですから、若いうちは組織に抵抗力があって外敵から細胞を守ってくれます。残念ながら、歳をとると肌に、それもシワの中で水滴は張り付いたままです。

 株式マーケットも生き物のようなものです。人間と同じように歳をとります。東京証券取引所が戦後、再開された1949年(昭和24年、初立会い5月16日)から、人でいえば還暦を過ぎ、決して若くはありません。戦後は、育ち盛りの子供のように、企業は作れば、いくらでも売れる時代でした。しかし、食べる量はめっきり減り、ちょっと風邪を引くと肺炎になってしまう心配さえあります。歳をとっているのです。

 もちろん、マーケット参加者には年配者ばかりではなく若い人もいます。しかし、残念ながら投資資金がある主役は年配者です。しかも、もう一方の資本主義のメインプレーヤーである企業も歳をとっています。戦後の頃から比べると売り上げは大きくなったかわりに資本金も大きくなって動きは緩慢で重くなっています。メタボも目立ちます。反面、このような年配者を見ているためか、若い人にも、若い企業にも元気がありません。

 日本は2003年当時、バブル崩壊で危篤状態に陥りました。なんとか、政府資金のカンフル剤と緊急手術で乗り越えました。08年のリーマンショックも新興国輸出というカンフル剤に支えられて持ちこたえることができました、しかし、本当に体力が回復しているかは疑問です。

 長期的観点で将来の日本を担う子供たちを支援することは国の体力を向上させるために非常に大切です。同時に日本が資本主義で歩んで行く以上は、プレーヤーである企業が体力を向上させることに国をあげて取組まないといけません。そうでないと、もうカンフル剤はないのです。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■地域と共に築いた「鮪解体ショー」で世界一の舞台へ  銚子丸<3075>(東証スタンダード)は、同…
  2. ■速乾・吸水機能を備えたブラ&ショーツ、11月7日から応援購入受付  グンゼ<3002>(東証プラ…
  3. 日産自動車 日産 NISSAN
    ■経営再建計画の一環として保有資産を最適化、20年間の賃貸借契約で本社機能維持  日産自動車<72…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  2. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  3. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  4. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  5. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  6. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る