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アルコニックスは調整一巡して出直り期待、19年3月経常減益予想だが20年3月期収益拡大期待
- 2019/1/17 06:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。19年3月期は経常減益予想だが、20年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪の影響で昨年来安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月12日に第3四半期決算発表を予定している。
■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造が利益柱
18年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材30%、アルミ銅54%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だったが、経常利益構成比は商社流通36%(電子機能材23%、アルミ銅13%)で製造64%(装置材料11%、金属加工54%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める柱となった。
中期経営計画(19年3月期~21年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を21年3月期の経常利益95億円超、純利益72億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。
3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。
18年8月には、カーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化(新設する中間持株会社が19年2月上旬株式取得予定)すると発表した。18年11月には、摩擦調整材のカシューパーティクルを製造販売する東北化工の株式をエフ・シー・シー<7296>から取得して、連結子会社化(新設する中間持株会社が18年12月下旬株式取得予定)すると発表した。ブレーキ関連市場に参入する。
なお1月7日には、連結子会社の富士プレスが日邦産業<9913>と共同で14年4月設立したメキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業を分割し、メキシコに18年12月設立したFUJI-MX社(出資比率富士プレス80%、アルコニックス20%)が譲り受ける(19年7月1日予定)と発表した。FNA社の事業運営に係る日邦産業との合弁契約は解消する。
■19年3月期経常微減益予想だが20年3月期収益拡大期待
19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比8.9%増の2700億円、営業利益が4.4%減の70億円、経常利益が3.0%減の77億円、純利益が3.1%増の55億円としている。配当予想は6円増配(17年9月1日付株式2分割換算後)の年間38円(第2四半期末19円、期末19円)としている。予想配当性向は17.9%となる。
第2四半期累計は売上高が前年同期比8.4%増の1297億37百万円、営業利益が10.5%増の38億33百万円、経常利益が1.1%減の37億47百万円、純利益が0.5%減の27億67百万円だった。
商社流通におけるアルミ原料や電子材料などの数量増加、製造における半導体製造・実装装置関連や自動車関連の増加で増収だった。利益は増収効果で販管費増加を吸収して2桁営業増益だったが、為替差損計上で経常・最終微減益だった。
セグメント経常利益は、商社流通・電子機能材が13.2%減の6億15百万円、商社流通・アルミ銅が9.9%減の5億50百万円、製造・装置材料が71.7%増の5億36百万円、製造・金属加工が4.5%減の20億57百万円だった。
通期のセグメント経常利益の計画は、商社流通・電子機能材が12.7%減の15億90百万円、商社流通・アルミ銅が10.0%減の9億30百万円、製造・装置材料が43.6%増の12億円、製造・金属加工が6.2%減の39億80百万円としている。製造・装置材料は米Univerticalの増益が寄与する。製造・金属加工は持分法投資利益の減少を見込んでいる。
通期ベースでは、商社流通において非鉄市況の反動や利益率の低下を見込み、全体の営業利益と経常利益を微減益予想としている。ただし第2四半期累計の進捗率は営業利益54.8%、経常利益48.7%、純利益50.3%と順調である。また20年3月期の収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は3月末の株主対象、19年3月末から導入
株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈する。19年3月末から導入する。
■株価は調整一巡して出直り期待
株価は地合い悪の影響で昨年来安値圏だが、12月25日の923円から切り返している。調整一巡して出直りを期待したい。1月16日の終値は1105円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS212円51銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1423円87銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約286億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)