【編集長の視点】加賀電子は第1段階の富士通エレクトロ株取得で13期ぶりの最高純利益更新を見直し反発

加賀電子<8154>(東1)は、前日17日に9円高の1963円と反発して引け、取引時間中の高値を2015円にまで伸ばし昨年12月25日につけた昨年来安値1726円からの底上げを鮮明化した。今年1月7日に昨年9月に発表した富士通エレクトロニクスの買収のうち、その第1段階の7 0 %の株式取得が完了し、1月1日から連結子会社となると発表したことから、今2019年3月期純利益の13期ぶりの過去最高更新予想を見直し売られ過ぎ訂正買いが再燃した。テクニカル的にも、新年相場では2063円高値までリバウンドして昨年12月初めからの急落幅の半値戻し目前となっており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」の展開となるとの期待を強めている。

■70%の株式取得を完了しいよいよ今年1月から業績寄与が始まる

 富士通エレクトロニクスの買収は、同じエレクロトニクス商社業界の売上高第4位と第8位の経営統合で、業界トップクラスの5000億円級の企業グループの誕生につながる。しかも、富士通系としてIoTやソリューション対応力が強く、グローバルサポート体制を構築している富士通エレクトロニクスと、独立系でグローバルなEMS(電子部品受託生産)拠点網を展開している加賀電子とが、双方の強みを補完し合って、独自技術や独自商品を開発して新規商材を拡充、顧客基盤も共有して世界で戦えるエレクトロニクス商社への高度化・高成長させることが目的となっている。買収は3段階に分かれ、この1月に70%を取得したあと、来年12月に85%、2021年12月に100%の株式取得を完了する。

 加賀電子の業績には、今2019年3月期の第4四半期(2019年1月~3月期)から寄与することになり、これを踏まえて今期業績は、売り上げ2900億円(前期比22.9%増)、営業利益77億円(同5.2%減)、経常利益80億円(同8.5%減)、純利益73億円(同12.5%増)と見込み、純利益は、富士通エレクトロニクス買収に伴う負ののれん代償却も織り込み過去最高の72億7200万円(2006年3月期)を13期ぶりに更新する。つれて株主還元策も積極継続し、今期配当は、普通配当を年間70円(前期実績60円)としたうえに創立50周年の記念配当5円を実施、合計75円(前期は特別配当10円込みで70円)へ連続増配する。

 同社の業績は中期的にも高成長が予想されている。富士通エレクトロニクス買収を踏まえて2020年3月期から推進する次期中期経営計画では、シナジー効果の顕在化により、最終年度の2022年3月期に売り上げ5000億円、営業利益130億円を目標としている。

■12月急落幅の半値戻し目前からPER7倍台、PBR0.7倍の割安修正を加速

 株価は、昨年12月に日経平均株価がフシ目の1万9000円台を割る急落となったトバッチリを受けて2400円台から昨年来安値1726円まで約700円安し、足元では売られ過ぎとして底上げし急落幅の半値戻し目前となった。PERは7倍台、PBRは0.76倍、配当利回りは3.82%となお割り負けており、「半値戻しは全値戻し」で急落前の2400円台を上抜き、次の上値フシの昨年10月高値2660円奪回が加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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