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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】キムラユニティーは13年5月高値突破、収益拡大基調を評価して上値追い
- 2015/4/3 07:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
総合物流サービスのキムラユニティー<9368>(東1)の株価は、13年5月の1030円を突破して3月24日の1099円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦調整したが、素早く切り返して2日は1050円まで戻している。低PBRや収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。06年1月の上場来高値1540円が次のターゲットとなる。
トヨタ自動車<7203>の補給部品・KD包装、および一般物流請負を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備などの自動車サービス事業、物流分野を中心とする情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開している。13年12月には日本最大級の軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。
物流サービス事業ではネット通販市場の拡大も追い風として、物流請負のNLS(ニュー・ロジスティクス・サービス)事業の新規顧客開拓や生産性改善を推進している。14年4月にはスズケン<9987>の庫内物流業務を請け負う千葉・印西事業所、14年5月には東芝ロジスティクスの物流業務を請け負う神奈川・川崎事業所を開設した。NLS事業は新規顧客開拓が順調に進展して15年3月期売上高見通しが80億円強となり、中期目標の売上高100億円の達成が視野に入っている。
海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。米国子会社は13年7月、カナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注した。さらに14年7月には一段の受注拡大に向けて新倉庫が竣工・稼働した。中国では自動車保有台数の増加に伴って、中期的に補修部品需要の拡大基調が予想されている。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(10月10日に売上高を増額、利益を減額修正)は、売上高が前々期比10.7%増の452億円、営業利益が同0.6%増の17億円、経常利益が同10.9%減の19億円、純利益が同18.5%減の10億円で、配当予想(4月25日公表)が前期と同額の年間25円(第2四半期末12円、期末13円)としている。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比10.7%増収、17.2%営業減益、9.0%経常減益、17.3%最終減益だった。利益面では人件費の増加、国内外での新規事業所の生産準備費用などが影響して減益だった。しかし売上面では中国子会社の堅調推移、北米子会社の物流業務本格稼働、スーパージャンボの新規連結なども寄与して2桁増収だった。経常利益については営業外での為替差益が寄与した。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)107億47百万円、第2四半期(7月~9月)110億47百万円、第3四半期(10月~12月)115億81百万円と増加基調で、営業利益は第1四半期1億88百万円、第2四半期3億81百万円、第3四半期4億43百万円と改善基調である。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高73.8%、営業利益59.5%、経常利益75.5%、純利益76.5%だった。営業利益の進捗率が低水準だが、第4四半期(1月~3月)以降は新規事業所の費用増加の影響が一巡し、生産性改善効果も寄与して挽回が期待される。ドル高・円安に伴って営業外での為替差益も寄与するだろう。
そして今期(16年3月期)もトヨタ自動車関連が順調に推移し、物流請負のNLS事業も拡大基調だ。国内外の新規事業所の本格稼動や生産性向上効果も寄与して一段の収益拡大が期待される。
株主優待は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。たとえば1000株以上を2年以上保有している場合は「基本優待お米券5kg+長期優待お米券2kg=合計お米券7kg」を贈呈する。
株価の動きを見ると、13年5月高値の1030円を突破して3月24日の1099円まで上伸した。内需優良株を物色する流れにも乗ったようだ。その後は利益確定売りで3月30日に1019円まで調整する場面があったが、素早く切り返して4月2日には1050円まで戻している。収益拡大基調を評価する流れに変化はないだろう。
4月2日の終値1049円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS82円86銭で算出)は12~13倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.4%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1910円73銭で算出)は0.5倍近辺である。
週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺から切り返した。強基調を確認した形だ。0.5倍近辺の低PBRや収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。06年1月の上場来高値1540円が次のターゲットとなる。