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クリーク・アンド・リバー社は戻り歩調、19年2月期3Q累計減益だが通期増益・増配予想
- 2019/1/21 06:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)は、クリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。19年2月期第3四半期累計はグループ拠点移転・統合関連の一時的費用で減益だが、概ね計画水準だった。そして通期は増益・増配予想である。株価はレンジ下限から反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。
18年2月期のセグメント別売上構成比は、日本クリエイティブ分野71%、韓国クリエイティブ分野4%、医療分野13%、その他12%だった。なお19年2月期から、その他のセグメントを会計・法曹分野、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)に変更した。
収益面では医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。また韓国クリエイティブ分野のうちTVマーケット関連事業は新設会社に承継し、18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社とした。連結売上高が剥落するが利益への影響は小さい。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。
■事業領域拡大戦略を加速
M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速し、新規エージェンシー事業では建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、新規サービスではJURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークス(18年7月シリコンスタジオから承継したゲームコンテンツ開発・運営事業のスタジオリボルバーを商号変更)を展開している。
AI・ロボット関連では、17年10月台湾インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobot」の日本での独占販売を開始、18年1月台湾インツミットに出資、台湾インツミットと共同でAIを用いたシステム開発を行う新会社Idrasysを設立した。
ファッション分野では17年12月、プライベートワークス社代表取締役社長白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立している。
18年3月には、東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資した。UCDIは革新的なバイオ技術で水素と二酸化炭素から菌体を培養し、Biofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指して研究開発している。
■19年2月期増益・増配予想、3Q累計減益だが計画水準
19年2月期の連結業績予想は、売上高が18年2月期比10.5%増の295億円、営業利益が8.0%増の19億50百万円、経常利益が6.9%増の19億50百万円、純利益が4.2%増の11億50百万円としている。配当予想は1円増配の年間12円(期末一括)で、予想配当性向は22.1%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比8.8%増の220億84百万円、営業利益が6.3%減の13億92百万円、経常利益が6.1%減の13億91百万円、純利益が6.6%減の8億11百万円だった。
売上面では、韓国事業を持分法適用関連会社化した影響を除くと実質14%増収だった。日本クリエイティブ分野が牽引した。利益面では、人件費の増加やグループ拠点移転・統合関連の一時的費用(18年2月期比2.5億円増加の3.5億円)などで営業減益だったが、移転関連の一時的費用の影響を除くと営業利益は10%増益だった。売上総利益率は0.6ポイント上昇した。
日本クリエイティブ分野は売上高が16.0%増の163億39百万円で営業利益が2.4%増の8億40百万円だった。ゲームやWebの派遣・請負を中心に順調だった。韓国クリエイティブ分野は売上高が25百万円で営業利益が11百万円の赤字(前年同期は4百万円の黒字)だった。
医療分野は売上高が4.6%増の30億63百万円で、営業利益が3.2%増の6億円だった。医師紹介が堅調だった。会計・法曹分野は売上高が5.4%増の14億38百万円で、営業利益が33.7%減の79百万円だった。紹介が堅調だが、人員増強や広告宣言費の戦略的投下で減益だった。その他は売上高が30.4%増の12億16百万円で、営業利益が1億07百万円の赤字(前年同期は39百万円の赤字)だった。ITエージェンシー事業が伸長したが、先行投資負担で赤字が拡大した。
なお新規エージェンシー事業(建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術)は、売上高が48%増の4.8億円、営業利益が0.82億円の赤字(前年同期は1.5億円の赤字)だった。新規グループ会社(JURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークス)は、売上高が2.2倍の5.8億円、営業利益が1.7億円の赤字(同0.13億円の赤字)だった。
第3四半期累計の進捗率は売上高74.9%、営業利益71.4%だが、概ね計画水準としている。通期ベースでは、コスト面で積極的な人材投資に伴って人件費が増加し、18年10月のグループ拠点移転・統合関連費用も影響するが、日本クリエイティブ分野の増収効果や売上総利益率改善効果が牽引して増益予想である。
韓国事業では下期からゲーム配信による収益計上を予定している。新規分野では新規エージェンシー事業のファッション、シェフ、プロフェッサー、新規サービスのプロフェッショナルメディアの黒字化を見込んでいる。新規サービスのJURISTERRA、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックスは投資が継続する見込みだ。
■株価はレンジ下限から反発して戻り歩調
株価は900円~1300円のレンジ下限から反発して戻り歩調だ。地合い悪が影響した12月25日の昨年来安値870円から切り返し、1月18日には1183円まで上伸した。上値を試す展開を期待したい。1月18日の終値は1156円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS54円16銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS305円41銭で算出)は約3.8倍、時価総額は約261億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)