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アスカネットは調整一巡して出直り期待、19年4月期増収増益予想
- 2019/1/25 08:33
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アスカネット<2438>(東マ)は、遺影写真加工や写真集制作を主力としている。中期成長に向けて既存分野では葬祭市場をIT化する葬Tech、新規分野では空中結像エアリアルイメージング(AI)の事業化を推進している。19年4月期増収増益予想である。AI事業では樹脂製ASKA3Dプレートの量産試作段階へ進む方針だ。株価は地合い悪が影響した12月安値から切り返している。調整一巡して出直りを期待したい。なお3月6日に第3四半期決算発表を予定している。
■写真加工関連を主力として、空中結像AIの事業化を推進
葬儀社・写真館向け遺影写真加工のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力としている。既存分野では葬祭市場をIT化する葬Tech、新規分野では空中結像ASKA3Dプレートのエアリアルイメージング(AI)の事業化を推進している。18年4月期の売上構成比はMDS事業42.8%、PPS事業55.4%、AI事業1.8%だった。
17年2月人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造するユニロボットと資本業務提携、18年3月全身高速3Dスキャナーおよび3Dデータ処理システム開発・製造のVRC社と資本業務提携した。
■葬祭市場をIT化する葬Tech推進
MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。いずれも景気変動の影響を受けにくい特性や、下期の構成比が高い季節特性がある。
MDS事業は1992年に国内初となる遺影写真デジタル加工・出力を開始し、現在は約2450ヶ所の葬儀社向けに年間約35万件の写真画像を提供している。葬儀は年間約110万件施行されているため市場シェアは約30%(1位)となる。18年11月には遺影加工実績が累計500万件を突破した。
葬祭市場における豊富な顧客基盤(葬儀社)を活用し、ASKA3Dプレートを用いた「飛鳥焼香台」や「おうち供養おもかげ」の拡販、葬儀社・喪家・会葬者を繋ぐ新サービス「tsunagoo」の浸透など、葬祭市場をIT化する「葬儀×TECH=葬Tech」を推進している。
PPS事業は、オリジナル写真集をインターネットで受注・製作するサービスである。プロフェッショナル写真家向けBtoBの「アスカブック」と、一般消費者向けBtoCの「マイブック」を主力として、NTTドコモ<9437>向けOEM供給も拡大している。約4050ヶ所の写真館向けなどOEMを含めて年間約178万冊を提供している。本社隣地を取得して生産ライン増強の準備を進めている。
■AIは樹脂製ASKA3Dプレートで本格量産目指す
空中結像のAI事業は、プレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど多方面の業界・業種から注目されている。18年1月にはサービスブランドをASKA3D、プレート名をASKA3Dプレートに統一し、本格量産(ファブレス形態で製造、自社ブランドで販売)を目指している。
18年10月には低コスト供給が可能な新バージョンの樹脂製ASKA3Dプレートを発表した。従来に比べて高品質かつ高輝度の空中結像を可能にした。19年4月期に量産試作段階へ進み、中ロット案件の量産体制構築を目指している。本格量産への期待が高まる。
■19年4月期増収増益予想
19年4月期の非連結業績予想は売上高が18年4月期比3.5%増の61億11百万円、営業利益が2.2%増の8億06百万円、経常利益が1.9%増の8億11百万円、純利益が1.8%増の5億67百万円としている。配当予想は18年4月期と同額の年間10円(期末一括)で、予想配当性向は29.7%となる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比4.5%増の29億12百万円、営業利益が10.4%増の3億06百万円、経常利益が9.2%増の3億10百万円、純利益が7.7%増の2億11百万円だった。
売上面では、MDS事業が2.7%増収、PPS事業が5.8%増収、AI事業が15.0%増収と堅調に推移した。利益面では、MDS事業が人件費増加で6.8%減益だったが、PPS事業が稼働率上昇効果で6.7%増益と牽引し、AI事業の赤字縮小も寄与した。
通期のセグメント別売上高計画は、MDS事業が2.9%増の25億99百万円、PPS事業が2.2%増の33億43百万円、AI事業が43.0%増の1億69百万円としている。
MDS事業は、遺影写真加工収入の着実な積み上げや葬儀演出ツールの伸長を見込むが、人件費率を高めに想定して利益横ばい計画である。PPS事業は、売上面でOEMを中心に保守的な計画とし、さらに減価償却費、人件費、送料負担の増加で減益計画としている。AI事業は開発費が増加するが、樹脂製ASKA3Dプレートのサンプル販売などの増収効果で赤字が縮小する見込みだ。
第2四半期累計の進捗率は売上高47.7%、営業利益38.0%と低水準の形だが、下期の構成比が高い季節特性があるためネガティブ要因とはならない。第2四半期累計が2桁営業増益と順調であり、通期ベースで好業績が期待される。
■株主優待制度は毎年4月末の株主対象
株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。
■株価は調整一巡して出直り期待
株価は地合い悪が影響した12月25日安値1150円から切り返している。調整一巡して出直りを期待したい。1月24日の終値は1279円、今期予想PER(会社予想EPS33円74銭で算出)は約38倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約0.8%、前期実績PBR(前期実績BPS297円45銭で算出)は約4.3倍、時価総額は約223億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)