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PALTEKは戻り歩調、18年12月期減益予想だが19年12月期収益改善期待
- 2019/1/30 08:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
PALTEK<7587>(東2)は半導体輸入商社で、高収益のソリューション事業の拡大を推進している。18年12月期は減益予想(1月16日に下方修正して減益幅拡大)だが、19年12月期の収益改善を期待したい。株価は12月安値から切り返し、1月16日の下方修正に反応薄で戻り歩調だ。出直りを期待したい。なお2月12日に18年12月期決算発表を予定している。
■半導体事業を主力にソリューション事業なども展開
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力とする半導体輸入商社である。
FPGA、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM)するデザインサービス事業、および新規事業としてのソリューション事業(ビデオソリューション、IoTソリューション、物流ソリューション、エネルギーソリューションなど)を展開している。
主要仕入先は、FPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがMPS社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力としてFA機器、通信機器、放送機器、医療機器、車載機器向けなどに展開し、センサ分野ソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、ソニー<6758>、オリンパス<7733>などである。
■FPGAビジネスの取引形態変更を機に高収益性ビジネス拡大を加速
18年1月からFPGAビジネスの取引形態を変更した。一部の主要大手顧客への販売活動のうち、販売・物流オペレーション業務のみを当社が担当し、それ以外のFPGA活用ニーズの調査・案件発掘・案件獲得・技術サポートに関する業務はザイリンクス社が担当する。この変更によって売上総利益率が低下するが、売上高に影響は無い。主要大手顧客以外の顧客については、従来どおり当社が全ての販売業務を担当する。
また一部取引形態変更を機に、主要大手顧客向けFPGAビジネスに携わっていた営業・技術サポート等の経営資源を、戦略的にソリューション事業、デザインサービス事業、FPGAベースのソリューション事業、成長市場向けの半導体ビジネスにシフトし、高収益ビジネス拡大を加速させる。そして中期計画目標値20年12月期売上高400億円以上、営業利益率5%以上の達成を目指すとしている。
デザインサービス事業では、画像圧縮技術やFPGA設計ノウハウなどをベースとして、医療機器や産業機器の分野の売上が拡大している。
ソリューション事業では、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)、乳幼児向け呼吸見守りシステム、紙梱包資材システムなど、新規分野の拡販を推進する方針だ。
18年4月にはウィビコムを子会社化した。18年6月にはNTTドコモ<9437>およびベクトロジーと共同で世界初の「8K360度VRリアルタイム映像処理装置」を開発した。18年7月には東京理科大発ベンチャーのイノフィスと代理店契約を締結した。作業支援ウェアラブルロボット「マッスルスーツ」を販売する。
18年8月にはディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)<3652>とFPGAを活用したエッジAIソリューションで協業開始した。18年9月にはハカルスとAIを搭載したFPGA製品およびボックスコンピュータの開発で協業開始した。またリキッド・デザイン・システムズが開発した保育施設向け午睡チェック専用アプリを販売開始した。19年1月にはハカルスとFPGA向けAIソリューションを共同開発した。
■仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動する収益特性
一部の主要仕入先に対して保有する仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動し、売上総利益の増減に影響を与える収益特性がある。ドル高・円安は売上総利益押し上げ要因、ドル安・円高は売上総利益押し下げ要因となる。為替影響による売上総利益増減は15年12月期が4億31百万円の増加要因、16年12月期が5億30百万円の減少要因、17年12月期が22百万円の増加要因だった。
■18年12月期減益予想だが19年12月期収益改善期待
18年12月期連結業績予想(8月1日に上方修正、1月16日に下方修正)は、売上高が17年12月期比7.0%減の307億60百万円、営業利益が45.0%減の5億70百万円、経常利益が71.6%減の3億10百万円、純利益が70.1%減の2億10百万円としている。配当予想は3円減配の年間10円(期末一括)で、予想配当性向は36.5%となる。
前回予想に対して、売上面では主に海外メーカー向けメモリ製品の販売減少が影響した。利益面では、メモリ製品の価格下落に伴う利益率の低下、デザインサービス事業における受託開発案件の売上減少、営業外における為替差損発生などが影響した。19年12月期の収益改善を期待したい。
■株主優待制度は12月末の株主対象
株主優待制度は毎年12月31日現在100株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HPを参照)する。
■株価は戻り歩調
株価は12月26日の安値471円から切り返している。1月16日の下方修正には反応薄で戻り歩調だ。1月28日と29日には593円まで上伸した。出直りを期待したい。1月29日の終値は589円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS19円17銭で算出)は約31倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS867円35銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約70億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)