Delta-Fly Pharmaは底値圏、新規抗がん剤の創薬ベンチャー

 Delta-Fly Pharma<4598>(東マ)は新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。既存の抗がん活性物質を利用するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。株価は12月安値から切り返している。ほぼ底値圏だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャー

 18年10月東証マザーズに新規上場した。新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。

 既存の抗がん活性物質をモジュール(構成単位)として利用し、創意工夫を加えてアセンブリ(組み立て)することで、新規抗がん剤を創製するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。基礎研究がほとんど不要となり、臨床での有効性と安全性の予測が可能となるため、一般的な抗がん剤開発に比べて研究開発の期間が短く、かつ臨床試験で失敗する開発リスクも低減される。

 ビジネスモデルとしては研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務については外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託している。効率的な運営を特徴としている。

 また収益モデルとしては、研究開発段階では提携製薬会社からの契約一時金、マイルストーン、開発協力金が主な収入となり、提携対象製品が上市に至った場合は売上高に応じたロイヤリティ収入を得る。

■開発中のパイプライン

 開発中のパイプラインは、難治性・再発急性骨髄性白血病を対象疾患とする抗がん剤候補化合物DFP-10917(米国で臨床第3相準備中、日本で臨床第1相準備中)、肺がん等を対象疾患とするDFP-14323(日本で臨床第2相試験中)、膵がん等の固形がんを対象疾患とするDFP-11207(米国で臨床第2相準備中)、固形がん・血液がんを対象疾患とするDFP-14927(米国で臨床第1相準備中)、腹膜播種移転がんを対象疾患とするDFP-10825(前臨床試験中)、固形がんを対象疾患とするDFP-17729(臨床試験準備中)である。

 なおDFP-10917は日本で日本新薬、DFP-14323は日本で協和化学工業と提携している。

 18年11月にはDFP-17729に関連する特許出願を発表した。またDFP-14927について、18年12月米国FDA(食品医薬局)へIND(臨床試験用の新医薬品)申請し、19年1月米国FDAによるIND安全性審査が完了して米国での第1相臨床試験の実施が許諾された。米国において消化器がん患者を対象に臨床第1相試験を開始予定である。

 なお19年3月期の非連結業績予想は、売上高が2億円、営業利益が6億82百万円の赤字、経常利益が7億39百万円の赤字、純利益が7億41百万円の赤字としている。DFP-10917の日本での臨床第1相試験開始に伴うマイルストーン収入を見込んでいる。

■株価は底値圏

 株価はIPO人気が一巡し、地合い悪も影響して安値圏だが、12月26日の安値2480円から切り返している。ほぼ底値圏だろう。調整一巡して出直りを期待したい。1月30日の終値は2779円、時価総額は約121億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る