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ラクーンホールディングスは戻り試す、19年4月期2桁増益予想で上振れ余地
- 2019/2/1 05:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーンホールディングス<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。利用企業数が増加基調で19年4月期2桁増益予想である。第2四半期累計が順調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
ラクーンが18年11月1日付で持株会社に移行して商号変更した。アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。
スーパーデリバリーは出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。また越境ECサービス「SD export」も展開している。Paid事業では18年8月GMOペイメントゲートウェイ<3769>と業務提携している。
持株会社への移行に伴い、19年4月期からセグメント区分をEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)およびフィナンシャル事業(Paid事業、保証事業)とした。19年4月期第2四半期累計のセグメント別売上高構成比はEC事業63%、フィナンシャル事業37%、営業利益構成比(連結調整前)はEC事業81%、フィナンシャル事業19%だった。
グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進する。経営目標値としては、早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。18年12月には家賃保証サービスのALEMOを子会社化した。
■利用企業数増加基調
19年4月期第2四半期末時点におけるスーパーデリバリー会員小売店数は18年4月期末比1万4341店舗増増加の11万1541店舗、出展企業数は88社増加の1360社、商材掲載数は8万2663点増加の79万4296点となった。
Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。19年4月期第2四半期末時点における加盟企業数は3100社を突破した。グループ内含む取扱高は前年同期比18.2%増加の108億28百万円となった。また保証事業の保証残高は18年4月期末比14.0%増の190億54百万円となった。
■19年4月期2桁増益予想、2Q累計順調で通期上振れ余地
19年4月期の連結業績予想は、売上高が18年4月期比6.4%増の27億09百万円、営業利益が17.2%増の5億13百万円、経常利益が17.7%増の5億08百万円、純利益が16.6%増の3億30百万円としている。配当予想は未定としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.1%増の13億51百万円、営業利益が27.6%増の2億70百万円、経常利益が28.2%増の2億67百万円、純利益が30.2%増の1億82百万円だった。EBITDAは23.0%増の3億10百万円だった。EC事業が堅調に推移し、フィナンシャル事業が大幅伸長した。
EC事業は1.9%増収で6.8%営業増益だった。スーパーデリバリー流通額は国内が1.7%減少したが、海外が49.6%増と伸長し、全体では3.9%増加した。フィナンシャル事業は18.8%増収で71.4%営業増益だった。Paid稼働加盟企業数の増加に伴って取扱高増加ペースが上昇した。
通期ベースでも、EC事業、フィナンシャル事業とも伸長して増収・2桁増益予想である。各サービス利用者の稼働率向上、リピート率の向上、利用単価の向上を図る方針だ。第2四半期累計の進捗率は売上高49.9%、営業利益52.8%と順調である。通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■株価は戻り試す
なおM&Aおよび資本・業務提携の資金調達として18年8月、第三者割当による第5回・第6回新株予約権(行使価額固定型)および第7回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行している。
株価は1月8日に戻り高値778円まで上伸した。その後一旦反落したが、下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。1月31日の終値は686円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS18円53銭で算出)は約37倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS119円67銭で算出)は約5.7倍、時価総額は約129億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)