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AMBITIONは戻り試す、19年6月期2Q累計を上方修正して通期も上振れの可能性
- 2019/2/5 04:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
AMBITION<3300>(東マ)は東京23区中心に不動産関連事業を展開している。マンションサブリースと投資用マンション開発・販売を主力として、ITを活用した「不動産テック企業」を目指している。19年6月期増収増益予想で、2月4日に第2四半期累計予想を上方修正した。通期も上振れの可能性が高いだろう。株価は12月安値から急反発している。さらに上方修正を好感して戻りを試す展開が期待される。なお2月14日に第2四半期決算発表を予定している。
■東京23区中心の不動産コミュニティーデベロッパー
東京23区中心の不動産コミュニティーデベロッパーである。マンションサブリースのプロパティマネジメント事業、および投資用マンション開発・販売のインベスト事業(17年10月子会社化したヴェリタス・インベストメント)を主力として、賃貸仲介、少額短期保険、民泊などの不動産関連事業も展開している。
18年6月期のセグメント別営業利益構成比(連結調整前)は、プロパティマネジメント事業45%、賃貸仲介事業5%、インベスト事業51%、その他マイナス1%だった。
プロパティマネジメント事業は、不動産所有者から家賃保証付きで借り上げた物件を一般消費者に賃貸するサブリース(転貸)が主力である。東京23区中心に1人暮らし・DINKS向け分譲仕様のハイクオリティ・デザイナーズマンションを対象物件としている。19年6月期第1四半期末時点の総管理戸数は前年比12.4%増の1万7578戸、このうちサブリース管理戸数は8.0%増の9631戸となった。サブリース管理物件の8割強が東京都内に分布している。入居率は1.44ポイント上昇して95.24%となり、高水準を維持している。
インベスト事業の子会社化ヴェリタス・インベストメントは、都内プレミアムエリア(目黒区、渋谷区、新宿区、港区、品川区、中央区)を中心に、新築投資用マンションの開発・販売を展開している。分譲仕様のハイクオリティ・デザイナーズマンションが特徴である。
なお収益面の特性として、入社・転勤等の転居シーズンとなる3月を含む第3四半期(1~3月)の構成比が高い季節要因があり、インベスト事業における引き渡し戸数・時期によって期間損益が変動する可能性がある。
■管理戸数拡大とIT活用による「不動産テック企業」目指す
長期ビジョンの目標に売上高1000億円、営業利益100億円(18年6月期実績売上高232億78百万円、営業利益11億41百万円)を掲げ、成長戦略としてサブリース管理戸数を拡大するとともに、ITを活用した「不動産テック企業」を目指している。
プロパティマネジメント事業は、子会社化ヴェリタス・インベストメントの開発・販売物件も含めて、物件の適正な価値評価を行いつつ管理戸数拡大を推進する。外国人の流入や法人顧客の社宅などのニーズに対応し、19年4月からの新在留資格運用に伴って外国人入居者受け入れ態勢を強化する。また外出先からでも家電操作できる最新IoT機器「VERIOT」などのサービス提供で物件差別化も推進する。
さらに顧客満足度アップ、営業強化、自社管理物件のIoT化に向けて、PCやスマホを利用した重要事項説明、サイシード社およびコムデザイン社と連携したチャットツールやAIの活用、ナビック社との資本業務提携によるWi-Fiセキュリティサービスなども推進している。
民泊関連では、and factory<7035>と事業協力しているIoTスマートホステル「&AND HOSTEL」を展開する。なお民泊物件「セジョリ池上」は世界最大の宿泊予約サイト「Booking.com」主催の「クチコミアワード2018」を受賞した。2016年度に続き2度目の受賞である。
M&A・アライアンス戦略では、18年4月アクセルラボとIoTサービス共同開発で合意、18年5月RPAテクノロジーズと業務提携して不動産業界の業務効率化を支援するRPA事業に参入、18年10月ビューティ関連サービスのM.I.Tホールディングスに資本参加、18年11月不動産管理会社向け募集支援・業務改善システムのGood不動産と業務提携、18年12月不動産向けシステム開発のPC-DOCTORSを子会社化した。
■19年6月期増収増益予想、2Q累計上方修正して通期上振れの可能性
19年6月期連結業績予想は売上高が18年6月期比20.7%増の280億85百万円、営業利益が13.9%増の13億円、経常利益が7.0%増の10億88百万円、純利益が6.1%増の6億48百万円としている。管理戸数の着実な伸長やマンション引き渡し戸数の増加で増収増益予想である。配当予想は18年6月期と同額の年間16円50銭(期末一括)で、予想配当性向は17.3%となる。
なお2月4日に第2四半期累計予想を上方修正した。売上高は12億21百万円増額して前年同期比48.5%増の134億43百万円、営業利益は2億57百万円増額して5億68百万円(前年同期は9百万円)、経常利益は2億62百万円増額して4億87百万円(同35百万円の赤字)、純利益は1億55百万円増額して2億64百万円(同48百万円の赤字)とした。
期初計画に比べて増収増益幅が拡大した。連結子会社ヴェリタス・インベストメントの新築投資用デザイナーズマンションの販売が計画よりも早期に完売し、プロパティマネジメント事業の管理戸数も着実に伸長した。
なお1月31日には、IoTスマートホテルのサブリース契約第2弾として、西浅草ホステル物件「&AND HOSTEL ASAKUSA」の売却およびサブリース契約締結を発表している。第2四半期累計が好調に推移し、通期も上振れの可能性が高いだろう。
■株価は戻り試す
株価(18年4月26日付で株式2分割)は地合い悪が影響した12月安値712円から急反発し、1月31日には1215円まで上伸した。さらに上方修正を好感して戻りを試す展開が期待される。2月4日の終値は1098円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS95円36銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円50銭で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS279円10銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約75億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)