- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インフォコムは上値試す、19年3月期3Q累計順調で通期売上高と期末配当を増額、3月1日付で株式2分割
インフォコムは上値試す、19年3月期3Q累計順調で通期売上高と期末配当を増額、3月1日付で株式2分割
- 2019/2/8 04:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォコム<4348>(東1)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力として、IoT領域などへの事業拡大も推進している。19年3月期第3四半期累計は電子コミック配信サービスの好調で2桁営業増益と順調だった。そして通期売上高と期末配当を増額修正した。また効力発生日3月1日(基準日2月28日)で株式2分割する。株価は12月の上場来高値から反落したが、調整一巡して上値を試す展開が期待される。
■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開
帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安全確認サービスなどのサービスビジネス事業)、および一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、eコマース、女性向けや音楽系デジタルコンテンツの提供)を展開している。
18年3月期のセグメント別売上高構成比はITサービス54%、ネットビジネス46%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービス42%、ネットビジネス58%である。収益面ではITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。なお19年4月1日付で100%子会社インフォミュートスを吸収合併予定である。
■新中期経営計画で成長加速
17年2月策定の新中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。
成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。
経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。
18年3月には電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式を取得(議決権割合9.83%)した。18年6月にはAI与信エンジン搭載の通信販売事業者向け後払い決済与信サービス「at score」を発表した。18年7月にはヘルスケア分野において、SOMPOホールディングス<8630>と「シニアポータル構想」の共同推進で合意した。サービス第一弾としてSOMPOケアの介護施設利用者向け「買い物代行サービス」の実証実験を開始する。
■19年3月期3Q累計2桁営業増益と順調、通期売上高と期末配当を増額
19年3月期の連結業績予想(18年10月29日に上方修正、19年1月31日に売上高を上方修正)は、売上高が18年3月期比12.5%増の515億円、営業利益が14.9%増の67億円、経常利益が12.0%増の67億円、純利益が固定資産売却益の反動で0.9%減の46億円としている。電子コミック配信サービスが好調なため売上高を増額した。そして2桁営業・経常増益予想である。
配当は3月1日付株式2分割換算後で、期末予想を従来の15円から東証1部上場記念配当2円増額して17円とした。株式2分割換算後で比較すると年間22円(第2四半期末5円、期末17円)で、18年3月期(第2四半期末5円、期末14円の年間19円)比3円増配となる。予想配当性向は26.2%となる。なお株式2分割換算前で比較すると年間44円(第2四半期末10円、期末34円)で、18年3月期(第2四半期末10円、期末28円の年間38円)比6円増配となる。
第3四半期累計は売上高が前年同期比13.0%増の355億09百万円、営業利益が11.8%増の38億04百万円、経常利益が4.0%増の38億49百万円、純利益が19.0%減の27億15百万円だった。電子コミック配信サービスの好調が牽引して2桁増収・営業増益だった。経常利益は前年同期の営業外に計上したパートナーシップ利益の反動で小幅増益、純利益は前年同期の特別利益に計上した固定資産(データセンター)売却益の反動で減益だった。
ITサービスは0.5%増収で33.8%営業減益だった。ヘルスケア分野は病院向け製品を中心に順調だったが、企業向けITサービスにおける大型SI案件の採算悪化などで減益だった。ネットビジネスは25.2%増収で26.0%営業増益だった。電子コミック配信サービスの好調(28.2%増の150億円)が牽引した。データ分析の高度化で広告効果が増大した。
通期は、ITサービスが製薬企業向け大型SI案件の期ズレ影響で伸び悩むが、電子コミック配信サービスの好調が牽引する。セグメント別の計画はITサービスを下方修正、ネットビジネスを上方修正し、ITサービスは売上高が2.0%減の240億円で営業利益が6.5%減の23億円、ネットビジネスは売上高が29.2%増の275億円で営業利益が30.9%増の44億円としている。好業績が期待される。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。なお18年度から優待内容を一部変更(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡して上値試す、19年3月1日付で株式2分割
株価(18年11月28日付でJASDAQから東証1部に市場変更、19年3月1日付株式2分割前)は、12月4日の上場来高値5070円から反落し、さらに地合い悪の影響を受ける場面があったが、12月25日の直近安値3495円から切り返している。調整一巡して上値を試す展開が期待される。
2月7日の終値は3900円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS168円20銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1032円15銭で算出)は約3.8倍、時価総額は約1123億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)