【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パシフィックネットは下値切り上げて戻り歩調、15年5月期好業績見通しを評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)の株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。15年5月期好業績見通しや5月期末一括で2%台後半の配当利回りを評価して続伸展開だろう。

 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収強化、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

 全国主要都市8箇所の引取回収拠点や、ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなども奏功して顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収も本格化している。

 新サービスとして14年8月、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業で中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

 14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める戦略だ。そして2月17日には「P-Bridge」に関して特許出願したと発表している。今後は「P-Bridge」をソリューション・プラットフォームと位置付けて新たなサービスも投入する方針だ。

 14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表している。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。

 今期(15年5月期)の連結業績見通し(7月15日公表)は、売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(6月~11月)は前年同期比23.1%増収、19.7%営業増益、16.9%経常増益、29.1%最終増益で期初計画を上回る増収増益だった。米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要一巡や、消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的だった一方で、中古スマートフォンや中古タブレット端末といった中古モバイル機器の引取回収、業者向け卸販売が大幅に増加したようだ。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(6月~8月)11億50百万円、第2四半期(9月~11月)10億86百万円で、営業利益は第1四半期1億19百万円、第2四半期32百万円である。また通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.6%、営業利益が50.3%、経常利益が51.8%、純利益が61.4%と概ね順調な水準である。

 通期見通しについては市場動向や戦略投資などの状況を踏まえて精査中として前回予想を据え置いているが、顧客対応強化の効果で中古情報機器の引取回収・販売が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大する。生産性向上や業務プロセス効率化も寄与して通期見通し増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、1月16日の直近安値474円から切り返して4月2日の573円まで上伸した。下値を切り上げて戻り歩調の展開だ。好業績見通しを評価する流れだろう。

 4月3日の終値572円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.8%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなった。また週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて52週移動平均線を突破した。そして13週移動平均線が上向きに転じた。強基調への転換を確認した形だろう。15年5月期好業績見通しや5月期末一括で2%台後半の配当利回りを評価して続伸展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る