アルコニックスは下値固め完了感、19年3月経常減益予想だが20年3月期収益拡大期待

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。19年3月期経常減益予想で、第3四半期累計は経常減益だったが、20年3月期の収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

■製造が利益柱

 18年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材30%、アルミ銅54%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だったが、経常利益構成比は商社流通36%(電子機能材23%、アルミ銅13%)で製造64%(装置材料11%、金属加工54%)だった。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める柱となった。

 中期経営計画(19年3月期~21年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を21年3月期の経常利益95億円超、純利益72億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。

 3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。

 18年12月には摩擦調整材のカシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化した。ブレーキ関連市場に参入する。19年2月にはカーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化した。

 19年1月には、連結子会社の富士プレスが日邦産業<9913>と共同で14年4月設立したメキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業を分割し、メキシコに18年12月設立したFUJI-MX社(出資比率富士プレス80%、アルコニックス20%)が譲り受ける(19年7月1日予定)と発表している。FNA社の事業運営に係る日邦産業との合弁契約は解消する。

■19年3月期経常微減益予想だが20年3月期収益拡大期待

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比8.9%増の2700億円、営業利益が4.4%減の70億円、経常利益が3.0%減の77億円、純利益が3.1%増の55億円としている。配当予想は6円増配(17年9月1日付株式2分割換算後)の年間38円(第2四半期末19円、期末19円)としている。予想配当性向は17.9%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比6.6%増の1957億81百万円、営業利益が9.8%減の49億46百万円、経常利益が14.8%減の50億39百万円、純利益が14.8%減の36億12百万円だった。

 商社流通・電子機能材、製造・装置材料が牽引して増収だが、商社流通・電子機能材のレアメタル取引で発生した滞留債権の貸倒引当金計上、製造・装置材料における東北化工および富士カーボン製造所の株式取得関連費用の計上、持分法投資利益の減少、為替差損の計上などが影響して経常利益は2桁減益だった。

 セグメント経常利益は、商社流通・電子機能材が46.3%減の6億34百万円、商社流通・アルミ銅が1.4%減の8億83百万円、製造・装置材料が18.9%減の5億15百万円、製造・金属加工が5.1%減の30億40百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は営業利益が70.7%、経常利益が65.4%、純利益が65.7%である。20年3月期の収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末の株主対象、19年3月末から導入

 株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈する。19年3月末から導入する。

■株価は下値固め完了感

 株価は昨年来安値圏だが、12月安値923円を割り込むことなく1100円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月18日の終値は1113円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS212円51銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1423円87銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約288億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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