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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジオネクストは下値支持線から切り返し、再生可能エネルギー事業にシフトして収益改善基調
- 2015/4/7 07:07
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジオネクスト<3777>(JQS)の株価は120円近辺の下値支持線から切り返しの動きを強めている。再生可能エネルギー事業にシフトして15年12月期は営業黒字化見通しであり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。
14年4月にターボリナックスHDから現社名ジオネクストに商号変更した持株会社である。従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション関連)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)に加えて、新規領域の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電)、およびヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開している。先端医療関連の遺伝子治療研究所については15年2月の第三者割当増資で持分法適用関連会社に移行した。
中期成長に向けた基本戦略としては、14年に開始した新規領域の再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトし、従来のIT関連事業と環境事業の収益性を確保しつつ、新規領域のヘルスケア事業の拡大・収益化も目指す方針としている。
再生可能エネルギー事業のO&M(Operation & Maintenance)は、太陽光発電所事業者から運用・保守・管理業務を受託するサービスで、15年5月の本格稼働を計画している。
独自開発した最先端の24時間365日対応常時遠隔監視・制御システム、監視カメラによる犯罪防止のための常時監視、発電データの管理、官公庁への報告書の作成、保安規程に基づく定期点検の実施、草刈・除雪・太陽光パネル清掃といった発電所構内の管理、さらに地域の各種行事・イベントへの参加といった地域との共生までワンストップサービスで受託する。
電力会社からの出力抑制要請(電力会社が必要に応じて太陽光発電で発電した電気の買い取りを制限できる制度)にも対応して、監視・制御センターでの遠隔操作で常時監視・制御するためコスト低減と安全な運用が可能となる。既存の太陽光発電所からの受託件数増加が予想されているため、O&Mサービス収入をストック型ビジネスモデルの収益柱として育成する方針だ。
今期(15年12月期)連結業績見通し(2月10日公表)は、売上高が前期比10.2倍の27億円、営業利益が1億50百万円(前期は1億75百万円の赤字)、経常利益が1億14百万円(同2億46百万円の赤字)、純利益が1億14百万円(同2億74百万円の赤字)の黒字化としている。
再生可能エネルギー事業の太陽光発電関連(売電開始と発電所売却)およびO&Mサービスの本格稼働が牽引して営業黒字化見通しだ。太陽光発電所は買い取り価格32円/kWで19ヶ所が確定している。完成後に半数程度を売却してO&Mサービスを受託する計画で、売却交渉も進展しているようだ。なお営業外費用では遺伝子治療研究所に対する持分法投資損失として36百万円を見込んでいる。
セグメント別営業利益(全社費用等調整前)の計画は、IT関連事業が32百万円、環境事業が22百万円、ヘルスケア事業が8百万円、再生可能エネルギー事業が2億42百万円としている。再生可能エネルギー事業では地熱発電を織り込んでいない。ヘルスケア事業では14年12月開業の仙真堂薬局「八戸日赤前店」および15年4月開業の「八戸労災病院前店」が寄与する。
なお営業損失および営業キャッシュフローのマイナスが9期継続して発生しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されているが、営業損益と営業キャッシュフローの黒字化に向けて、顧客基盤の拡大、成長戦略に不可欠な人材の確保および協力会社の活用、財務体質の強化、内部統制の強化、法令順守体制の強化に取り組むとしている。
14年2月発表の中期経営計画ローリングプラン(15年12月期~17年12月期)では、経営目標値を17年12月期売上高55億円、営業利益14億50百万円、経常利益14億円、純利益8億40百万円を掲げている。なお本計画では第15回新株予約権(14年12月発行)の行使は前提としていない。
セグメント別(17年12月期)には、IT関連事業が売上高1億20百万円、営業利益(全社費用等調整前)43百万円、環境事業が売上高1億30百万円、営業利益22百万円、ヘルスケア事業が売上高6億50百万円、営業利益1億40百万円、再生可能エネルギー事業が売上高46億円、営業利益14億25百万円の計画としている。O&Mサービス収入が収益柱となり、ストック型ビジネスモデルが牽引する計画だ。
再生可能エネルギー事業の地熱・温泉バイナリー発電は、鹿児島県指宿市山川地区の2ヶ所において源泉使用権および発電機を設置する土地を取得済みである。16年前半に10ヶ所程度で売電を開始し、17年12月期に収益が本格化する計画だ。ヘルスケア事業は、新株予約権行使による資金調達の状況に合わせて、東北地方や北関東地方を中心に調剤薬局6店舗程度を開設する方針だ。
IT関連事業と環境事業は規模拡大ではなく、付加価値の高い商品・サービスの提供で収益性を確保するとともに、再生可能エネルギー事業への人員活用などでシナジー効果も高める方針だ。再生可能エネルギー事業におけるストック型ビジネスモデルが牽引して中期的に収益改善基調だろう。
株価の動き(14年1月1日付で株式20分割)を見ると、14年12月の戻り高値184円から反落して調整局面だが、3月30日の直近安値122円から切り返しの動きを強めている。4月6日は133円まで戻した。収益改善基調を評価する動きだろう。
4月6日の終値133円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円85銭で算出)は47倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS27円00銭で算出)は4.9倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。14年10月安値108円水準まで下押すことなく切り返して120円近辺の下値支持線を確認したようだ。トレンド好転の可能性があり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。