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フライトホールディングスは売り一巡、19年3月期赤字だが20年3月期以降に目白押しの有望案件に期待
- 2019/2/26 08:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力として、システム開発のコンサルティング&ソリューション、およびECソリューションも展開している。19年3月期は電子決済ソリューション大型案件の後ろ倒しで赤字予想となったが、20年3月期以降に目白押しの有望案件で収益拡大を期待したい。株価は売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■電子決済ソリューションが主力
フライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B(企業間取引)ECサイト構築システムのECソリューション事業を展開している。海外は電子決済ソリューションの本格展開に向けて米国と台湾に準備会社を置いている。
18年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が38%、サービス事業が55%、ECソリューション事業が6%だった。収益面ではサービス事業の大型案件によって変動する特性がある。
C&S事業は、公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開している。業容拡大に向けてトータル物流システム、新しい楽曲配信サービスシステム、クラウドサービス関連の導入支援サービスを重点領域としている。
ECソリューション事業の「EC-Rider B2B」は、卸売・企業間取引に特化したECサイト構築システムである。UCCグループのフーヅフリッジ、日東電工などに採用されている。
■サービス事業は電子決済ソリューションのマルチ決済端末など展開
サービス事業は電子決済ソリューション分野で、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズと、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開している。電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。
スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向けのBtoB決済ソリューションである。10年9月に国内初のiPhoneを活用した法人向け決済ソリューションとして提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。
スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズは全国のソフトバンクショップ、ドコモショップに導入されている。主要カードへの対応を完了しており、モバイル型や据置・モバイル兼用型など製品ラインアップ拡充を推進している。
多機能モバイル決済端末「incredist Premium」は、磁気クレジットカード決済、EMV(接触型ICクレジットカード)決済、コンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応クレジットカード)決済、日本独自の電子マネー決済に対応している。またMastercardなど国際6ブランドのコンタクトレスEMV認定が完了している。
18年7月には、タブレット不要・プリンタ内蔵・バッテリー搭載の据置・モバイル兼用型マルチ決済装置「Incredist Trinity」のサンプル出荷を開始した。モバイル型と市場の大きい据置型の両面展開を推進する。
なおコンタクトレスEMVでは三井住友カードと接続を開始している。また国内向け電子マネーでは、NTTドコモの「iD」に対応済みで、交通系電子マネー等のブランド検定も進行中である。
19年2月には、飲料自動販売機や駐車場などの無人自動精算機向けマルチ決済端末の新製品を発表した。米国ID TECH社製「VP6800」を日本国内の自動販売機・自動精算機に接続するために必要な各種機能を搭載したIFユニットを共同開発した。
パートナーやビジネスモデル拡大も推進している。18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として加盟店開拓・契約締結・管理を行い、決済金額に応じた手数料収入を得る。従来の決済装置および決済ソリューションに加えて、継続的に手数料収入が得られるストック型収益となる。また今後は中堅カード会社との接続など決済パートナーの拡大を目指す。
さらに、訪日外国人旅行客の増加に伴ってキャッシュレス需要が高まっている中小店舗・商店街への展開として、商店街連合会等と協議して自社決済ソリューションを展開する方針だ。
■ロボット関連も強化
ロボット関連も強化している。17年2月、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」関連として、ジエナ社と共同で法人向けロボットのコンテンツマネージメントソリューション「Scenaria」を開発した。アプリ開発の経験が無い部署でも簡単にコンテンツの更新ができるソリューションである。18年9月には「Scenaria」が、NTT東日本のロボコネクト用Sota(小型のデスクトップ型ロボット)に対応した。
医療分野におけるAIとロボットの活用では、東京慈恵医科大学先端医療情報技術研究講座およびジェナ社と、医療機関で「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムに関する共同研究も行っている。
また新規分野として、18年9月には非接触充電機能搭載のビジネス向けIPテレフォニー用ハンドセット「Elite Station」の販売を開始した。各種ビジネスフォンの機能を搭載したタブレット向けIP電話ソフトもリリース予定としている。
■キャッシュレス化の流れが追い風
経済産業省の指針として、訪日観光客の利便性向上も視野に入れて、20年までに日本国内で接触型ICクレジットカード(EMV)決済を100%実現できるよう推進している。キャッシュレス化の流れが追い風となる。
また割賦販売法の改正によって、20年3月までに磁気カード対応からICカード対応に移行することが義務付けられたため、一般の店舗だけでなく、タクシーや電車の券売機、屋外に設置されている自動販売機やコインパーキングの精算機など、クレジットカードを取り扱う全ての業種で対応が必要となる。
■19年3月期赤字だが20年3月期以降に目白押しの有望案件に期待
19年3月期の連結業績予想は2月7日に下方修正して、売上高が18年3月期比24.0%減の16億円、営業利益が3億40百万円の赤字(18年3月期は68百万円の黒字)、経常利益が3億50百万円の赤字(同48百万円の黒字)、純利益が3億50百万円の赤字(同38百万円の黒字)としている。電子決済ソリューションにおいて大型案件の納品が顧客都合で後ろ倒しとなった。
第3四半期累計は売上高が9億04百万円、営業利益が3億79百万円の赤字、経常利益が3億71百万円の赤字、純利益が3億73百万円の赤字だった。C&S事業が物流関連の基幹系システムなどで増収増益となり、ECソリューション事業も順調だったが、主力のサービス事業において電子決済ソリューション大型案件の納品が顧客都合で後ろ倒しとなっているため、大幅減収で赤字だった。
19年3月期は電子決済ソリューション大型案件の後ろ倒しで赤字予想だが、20年3月期以降に目白押しの有望案件で収益拡大を期待したい。先送りとなった電子決済ソリューション大型案件の納品に加えて、検定中の交通系電子マネー関連、割賦販売法改正に伴うICカード対応案件、19年ラグビーW杯や20年東京五輪など国際イベント案件、商店街連合会向けキャッシュレス対応案件、無人自動精算機向け決済端末と日本対応ユニット案件など、商談中の有望案件が目白押しである。
■株価は売り一巡して出直り期待
株価は19年3月期下方修正を嫌気したが、2月12日安値669円から切り返して売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。2月25日の終値は814円、時価総額は約77億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)