インテリジェントウェイブは下値固め完了、19年6月期大幅増益予想で2Q累計概ね順調

 インテリジェントウェイブ<4847>(東2)は、金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開している。19年6月期は不採算案件が一巡して大幅増益予想である。そして第2四半期累計は概ね順調だった。株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力

 大日本印刷<7912>の連結子会社で、ソフトウェア開発中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野中心にパッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。

 18年6月期セグメント別売上構成比は金融システムソリューション事業88%、プロダクトソリューション事業12%だった。高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システムで高シェアを持ち、クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。

 収益面では金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、下期の構成比が高い特性もある。

■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化

 金融システムソリューション事業ではクレジットカード決済のフロント業務関連システムから、バックオフィス業務関連など基幹業務システム関連への事業領域拡大を目指している。またクラウドサービスも強化している。プロダクトソリューション事業では、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。

 クラウドサービスの18年6月末時点の導入社数は、OnCore SwitchのIGATESが1社、不正検知のIFINDSが1社、アクワイアリング業務のIOASISが4社となった。19年6月期末時点ではIGATESが3社、IFINDSが3社、IOASISが4社となる見込みだ。

 AI(人工知能)技術を活用したソフトウェアOpAIに関しては、あいおいニッセイ同和損保の損害サービス部門に、17年11月OpAIを活用した照会応答システムの利用を開始し、18年4月には高精度文書検索システムが導入された。

 18年8月策定の新中期事業計画では、サイバーセキュリティ総合プロバイダーを目指し、経営目標値に21年6月期売上高112億円(金融システムソリューション事業96億円、プロダクトソリューション事業16億円)、営業利益10億円(営業利益率8.9%)を掲げている。金融システムソリューション事業におけるクラウドサービスの売上拡大(18年6月期実績3億86百万円、21年6月期計画14億円)を図る。

■19年6月期大幅増益予想で2Q累計概ね順調

 19年6月期の非連結業績予想は、売上高が18年6月期比0.9%増の107億円、営業利益が60.7%増の8億80百万円、経常利益が56.9%増の9億円、純利益が64.3%増の6億20百万円としている。金融システムソリューションにおけるカードブランド統合案件の反動で売上高は横ばいだが、不採算案件が一巡して大幅増益予想である。配当予想は18年6月期と同額の年間7円(期末一括)で、予想配当性向は29.7%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.4%増の50億39百万円、営業利益が41.5%増の2億69百万円、経常利益が43.0%増の2億81百万円、純利益が58.4%増の2億04百万円だった。

 金融システムソリューションは13.2%増収で17.0%増益だった。カードブランド統合案件が減少したが、カード会社の不正利用検知案件が増加し、不採算案件の一巡やクラウドサービスの収益改善なども寄与した。プロダクトソリューションは31.1%減収だが赤字が縮小した。自社製品CWATの増収が寄与した。

 通期のセグメント別計画は、金融システムソリューションの売上高が0.3%減の93億円で営業利益が40.5%増の8億40百万円、プロダクトソリューション事業の売上高が10.1%増の14億円で営業利益が40百万円の黒字(18年6月期は51百万円の赤字)としている。

 なお金融システムソリューションでは、新規プロジェクトとして放送システムIP化に対応した放送事業者向け新製品(共同特許出願済)を1社導入予定である。また年内に次世代不正検知システムの製品化を予定している。

 第2四半期累計の各利益は計画をやや下回ったが、期初時点で下期偏重の計画である。下期の構成比が高い特性を考慮すれば概ね順調と言えるだろう。不採算案件の一巡や自社製品の増収などで通期も収益改善が期待される。

■株価は下値固め完了して出直り期待

 株価(18年6月27日付でJASDAQから東証2部に市場変更)は反発力が鈍く安値圏だが、1月4日の591円から切り返し、600円台で推移して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月25日の終値は664円、今期予想PER(会社予想のEPS23円56銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円で算出)は約1.1%、前期実績PBR(前期実績のBPS217円18銭で算出)は約3.1倍、時価総額は約175億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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