【鈴木雅光の投信Now】ラップ口座は利用しなくてもいい

最近、証券会社が一所懸命に販売している「ラップ口座」。このサービスがスタートしたのは、かれこれ10年ほど前からでしょうか。当初は最低利用金額が1000万円、あるいは5000万円というように高額でしたが、金融業界の常と言いましょうか、やがて普及版ということで、最低利用金額を少額にしたものが登場してきました。

「ラップ口座」とは、複数の投資信託をラップ、つまりひとまとめにして、その中であれば何をどう買っても手数料が掛らない仕組みになっています。その代わり、投資信託の運用管理費用と同じように、ラップ口座に預けてある資産の額に対して、年率2%程度の管理手数料が取られます。

ラップ口座全体の残高は、ここ2年で急速に伸びてきました。日本投資顧問業協会の資料によると、2013年3月末時点では7689億円だったのが、2014年12月末には3兆1280億円にまで増加。ちなみに同期間における口座数は、5万1758口座から24万9055口座まで増えていますから、その成長ぶりがよく分かります。

ただ、ラップ口座を利用する価値については、いささか疑問符が付きます。

まずコストが割高。確かに口座内では何度売買しても手数料は掛りませんが、毎年一定率でラップ口座の管理手数料が取られますし、投資しているファンドの運用管理費用も発生します。

また、運用を一任するということですが、果たして、掛っているコストを上回るリターンを実現できるだけのポートフォリオを組んでくれるのか、という問題があります。ラップ口座の管理手数料に、投資先となるファンドの運用管理費用を合わせると、年間2%超のコスト負担になるわけですが、ラップ口座の本質である分散投資をベースに考えると、2%超のコスト負担は、期待リターンから考えると、いささか割高になります。それだけのリターンを実現する運用ノウハウを、ラップ口座を扱う金融機関が持っているのかどうかという点は、しっかりと見極めなければなりません。

恐らく、ラップ口座を推奨する金融機関は、「手間も掛りませんし、投資の知識が無くても大丈夫です」などと言うのでしょうが、多少なりとも資産運用を齧ったことのある人なら、「ラップ口座は使わない方が良い」ことに気付くはずです。

つまり、ラップ口座は投資の知識、経験がない人を「ハメる」ためのサービスと言えそうです。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

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