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ファンデリーは調整一巡して出直り期待、19年3月期増収増益予想
- 2019/3/4 08:37
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。健康食宅配会員数が増加基調であり、19年3月期増収増益予想である。株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■健康食宅配サービスのMFD事業が主力
健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業、およびマーケティング事業を展開している。18年3月期事業別売上高構成比はMFD事業89%、マーケティング事業11%だった。
MFD事業は健康食(冷凍弁当)の通販カタログ「ミールタイム」などを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から注文を受けて宅配する。従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。管理栄養士・栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。
健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーなどからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。
MFD事業は、おせち料理などで12月の売上高が増加する季節要因がある。またマーケティング事業では業務受託売上が下期偏重だったが、徐々に平準化が進んでいる。
需要拡大に対応してMFD事業の初の生産拠点となる新工場を建設する。18年度内に着工、19年度内に操業予定としている。新工場建設資金として50億円の借入を行う。
■MFD事業の会員数は増加基調
MFD事業の会員数は、15年3月期末15万2771人、16年3月期末18万2905人、17年3月期末20万3441人、18年3月期末22万1727人と増加基調である。なお18年3月期末の定期コース会員数は7925人で、17年3月期末比642人増加した。
全国の医療機関や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」など多様な健康食の開発やカウンセリングが強みである。18年3月には紹介ネットワーク数が2万ヶ所を突破(17年3月期末は1万7596ヶ所)した。1件あたり購入単価は6900円前後で推移している。
健康食通販カタログ「ミールタイム」の発行部数は、19年3月発行「ミールタイム2019春号」から各号80万部に増刷(現在は各号75万部)する。さらなる会員数拡大を目指す。
■19年3月期増収増益予想
19年3月期の非連結業績予想は、売上高が18年3月期比10.4%増の36億50百万円、営業利益が8.6%増の7億05百万円、経常利益が6.8%増の6億96百万円、純利益が6.0%増の4億45百万円としている。7期連続増収増益予想である。利益配分については、事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、配当による株主への利益還元に努めるとしている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比1.6%増の25億52百万円、営業利益が8.4%増の5億44百万円、経常利益が8.4%増の5億44百万円、そして純利益が9.0%増の3億46百万円だった。MFD事業は0.5%増収で8.8%営業増益、マーケティング事業は10.2%増収で7.9%営業増益だった。いずれも順調に伸長した。
なおMFD事業の会員数は前年同期比1万5720人増加の23万3227人、定期コース会員数は259人増加の8045人、1件あたり購入単価は113円増加の7085円となった。
通期ベースでもMFD事業は健康食宅配会員数が増加基調であり、マーケティング事業は高利益率を維持する。セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が9.8%増の32億20百万円で営業利益が12.1%増の7億53百万円、マーケティング事業の売上高が15.2%増の4億30百万円で営業利益が9.8%増の3億06百万円としている。
第3四半期累計の進捗率は売上高69.9%、営業利益77.2%と概ね順調である。下期の構成比が高い特性も考慮すれば、通期ベースでも好業績が期待される。
■23年3月期営業利益20億円目標
中期経営計画「will2022」では目標値に23年3月期売上高100億円、営業利益20億円、営業利益率20%を掲げている。セグメント別目標は、MFD事業が売上高91億円、営業利益20億円、マーケティング事業が売上高6億円、営業利益4億円、新設予定のメディア事業が売上高3億円、営業利益2億円、営業利益調整の全社費用6億円としている。
MFD事業では、SPA(製造小売業)モデルへの事業構造転換を推進し、圧倒的NO.1の健康食ブランドの確立を目指す。マーケティング事業では、医療機関リコメンドサンプリングを成長ドライバーとして大型契約獲得を推進し、商品力を高めてTVCMと競争できるサービス提供を目指す。新設予定のメディア事業では、ポイント家電を軸に自社の強みを活かした新事業を創出し、第3の収益柱を目指す。
一人暮らし高齢者の増加、生活習慣病患者や食事制限対象者などの増加を背景として、健康食宅配市場の拡大が予想される。従来の食事宅配サービスと一線を画した健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は調整一巡して出直り期待
株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。3月1日の終値は1023円、今期予想PER(会社予想EPS69円93銭で算出)は約15倍、前期実績PBR(前期実績BPS358円03銭で算出)は約2.9倍、時価総額は約65億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)