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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インテージHDは自律調整一巡、中期成長力を評価する流れに変化なく上値追い
- 2015/4/8 07:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
市場調査最大手のインテージホールディングス<4326>(東1)の株価は、3月23日の上場来高値2209円から利益確定売りや3月期末配当権利落ちで一旦反落したが、4月1日2026円から切り返している。7日は終値で2100円台を回復した。自律調整が一巡したようだ。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値追いの展開だろう。
13年10月に持株会社へ移行した。小売店パネル調査や消費者パネル調査などの市場調査・コンサルティング事業を主力として、システムソリューション事業、医薬品開発支援事業にも事業領域を広げている。
国内外における積極的なM&A戦略で業容を拡大している。11年9月ベトナムの市場調査会社FTA、12年9月医療情報総合研究所、12年11月医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月香港の市場調査会社CSG香港を子会社化、14年5月子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社の株式を取得してグループ化した。
アライアンス戦略では、12年4月NTTドコモ<9437>と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティングを設立、13年10月韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的事業協力を締結、13年11月インドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立した。
14年10月には世界的な情報・調査企業であるニールセンの消費者購買行動分析部門ニールセン・カンパニー合同会社と、小売店パネル調査の相互販売を可能にするパートナーシップを締結した。14年10月には医薬品有害事象情報システムの京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携した。
収益力強化に向けてグループ再編も進めている。14年6月には連結子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事<8001>に譲渡した。アスクレップは医薬情報事業を継続する。
またコンサルティング事業を強化するため子会社インテージコンサルティングを設立(15年4月)し、グループ子会社間の事業移管(15年4月)で、子会社インテージのヘルスケア関連マーケティングリサーチ領域を子会社アンテリオに、システムソリューション領域を子会社インテージテクノスフィアに移管した。
3月20日には、インターネット広告・ウェブサイト評価のための大規模プラットフォーム「Ad Trace Panel(アドトレースパネル)」の提供開始を発表した。マーケティングリサーチ業界最大規模のインターネット調査モニター「マイティモニター」をベースに、100万人規模のCookieパネル(パソコン30万人、モバイル75万人)を実現し、小規模なインターネット広告のキャンペーンについても効果測定が可能としている。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(11月6日に利益を増額)は売上高が前々期比3.5%増の440億円、営業利益が同2.7%増の36億円、経常利益が同3.5%増の35億円、純利益が同76.6%増の29億円、配当予想(5月12日公表)が同2円50銭増配の年間30円(期末一括)としている。
市場調査・コンサルティング事業で市場パネル調査などが好調に推移し、システムソリューション事業と医薬品開発支援事業の好採算案件も寄与する。純利益は関係会社(アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピー)株式売却益計上も寄与する。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比4.3%増収、同33.8%営業増益、同37.8%経常増益、同3.2倍最終増益だった。市場調査・コンサルティング事業の好調が牽引し、EDC(電子的臨床検査情報収集)システムの営業黒字化も寄与した。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)91億78百万円、第2四半期(7月~9月)101億60百万円、第3四半期(10月~12月)107億98百万円、営業利益は第1四半期2億71百万円、第2四半期10億46百万円、第3四半期12億52百万円と拡大基調だ。
そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.5%、営業利益が71.4%、経常利益が72.4%、純利益が100.1%で、純利益は超過達成している。来期(16年3月期)も市場調査・コンサルティング事業の好調が牽引して増収増益基調だろう。
14年5月に発表した第11次中期経営計画では、重点課題として主力事業再強化による市場価値向上、「モバイル&シングルソース」「グローバル」「ヘルスケア」領域の着実な成長、リサーチの枠にとらわれない新たなビジネスモデルの模索と確立、最適化の視点による戦略立案・推進のマネジメント強化を掲げ、17年3月期売上高520億円、営業利益46億円を目標としている。市場調査・コンサルティング事業が牽引し、M&Aやグループ再編も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、3月23日の上場来高値2209円から利益確定売りや3月期末配当権利落ちで一旦反落したが、4月1日2026円から切り返して7日は終値で2100円台を回復した。自律調整が一巡したようだ。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。
4月7日の終値2102円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS145円30銭で算出)は14~15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.4%近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS846円49銭で算出)は2.5倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。指標面に割高感はなく中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。